上下関係にあるルールを検討する

実は、法律の上位ルールである「憲法」の21条が保障する「報道の自由」を優先するために、刑法230条の2を付け加えたという考え方もできる。このように、同じレベルのルール(刑法と民法など)の範囲だけではなく、上下関係にあるルール(憲法と刑法など)の検討を含めて妥当性を分析する。これも、刑法的思考だ。

本書ではこのほか、殺人罪や窃盗罪、詐欺罪などの事例からも「刑法的思考」を抽出して紹介している。他のルールと矛盾のないルールのつくり方、目的達成のために抜け漏れのないロジックを構築するプロセスは、ビジネスの契約や交渉の場でも役立ちそうだ。

著者は本書で「刑法は、面白い」と強調している。確かに、ロジックをたどりながら読んでいくと、パズルを解くような面白さが感じられた。日常から遠いようで近い刑法から、知的楽しみに触れ、ビジネスでの活用法を見つけていただきたい。

今週の評者 = 高野 裕一
情報工場エディター。医療機器メーカーで長期戦略立案に携わる傍ら、8万人超のビジネスパーソンをユーザーに持つ書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」のエディターとしても活動。長野県出身。信州大学卒。

刑法的思考のすすめ~刑法を使って考えることの面白さを伝えたいんだよ!

著者 : 仲道 祐樹
出版 : 大和書房
価格 : 1,870 円(税込み)