「寛大に」解釈する
対話的思考の章では「チャリタブル・リーディング」が紹介され、示唆に富む。哲学の分野ではよく知られるという、他者の思考を解釈する手法だ。チャリタブルには「寛大な」などの意味がある。
簡単に言うと、相手の主張をいったんは正しいと仮定し、その上で論理の綻びを見つけ検討する、という手法だ。論破するのでなく、欠点を補い、相手をサポートする姿勢で臨む。対話を活発にし、自分だけではたどり着けない発想を生み出す方法だと著者は言うが、まさに共感と協働が重視される現代の世に求められているものだ。
他者とであれ、1人であれ、問いと答えを積み重ねていくことを深い思考と呼ぶのだろう。哲学の見識に触れられ、かつ思索の醍醐味を教えてくれる一冊だ。
今週の評者 = 安藤 奈々
情報工場エディター。8万人超のビジネスパーソンに良質な「ひらめき」を提供する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」編集部のエディター。早大卒。
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