問題解決の「テコの支点」を探す

問題が生まれるシステム自体を変えることは、多くの人々が関係し、介入規模も広範囲になるため容易でない。そこで著者は、問題解決の肝となる「テコの支点」を探すことを勧める。

例えば、米シカゴ大学犯罪研究所は、シカゴ市内で銃犯罪に関わるリスクが最も高い55000人(シカゴ市総人口の0.2%)を独自モデルで選び出し、集中的にサポートした。全市民に犯罪抑止を呼びかけるのではなく、的を絞ってアプローチしたのである。

このテコの支点を探すという考え方は、普段の生活やビジネスにも取り入れられるのではないだろうか。冒頭での私の場合であれば、予約が集中する土曜日や祝日に的を絞って、精緻に予約管理を行うなどの方法があっただろう。

さらに問題の原因を遡れば、予約管理システムの刷新、ホテルの売り上げ目標の調整などが考えられる。ただし、これらは所属する部門の対応範囲を超えており、簡単ではない。本書では、こうした上流に向かう難しさも考察している。日々「火消し」に追われている方は、本書を参考に上流への一歩を検討してみてほしい。

今回の評者 = 若林智紀
情報工場エディター。国際機関勤務の後、人材育成をテーマに起業。その後、ホテル運営企業にて本社人事部門と現場マネージャーを歴任。多岐にわたる業界経験を持つ。千葉県出身。東大卒。

上流思考──「問題が起こる前」に解決する新しい問題解決の思考法

著者 : ダン・ヒース
出版 : ダイヤモンド社
価格 : 1,980 円(税込み)