精米工場に入り浸った学生時代 現場見てこそ人は育つ神明ホールディングス 藤尾益雄社長(下)

神明ホールディングス社長 藤尾益雄氏

コメ卸最大手の神明ホールディングス(神戸市)を率いる藤尾益雄社長(56)。学生時代は精米工場で働き、入社後もコメの生産現場に自ら立ち会ってきた。急成長を主導するリーダーシップの源泉にあるのは、来る日も来る日もコメと向き合い続けた実体験だ。「現場、現物を見よう」「コメを好きになろう」――。社員にも繰り返し説き、後継者の育成を急ぐ。

――社員を教育する上で最も重視することは何ですか。

「現場、現物を見ることです。私自身、大学の時は週に2、3回精米工場で働きました。夏休み、冬休みは全て精米工場で過ごし、朝7時から夜の7、8時までずっと工場。『旅行に行きたい』『他のバイトがしたい』と思って、周りの大学生がうらやましくて仕方なかったです(笑)」

「『ワシはな、こうやって握ったらお米の水分量が分かるんや』。先々代の祖父がよく言っていました。最初は何を言っているのかよく分かりませんでしたけどね。でも、来る日も来る日も玄米見てたら分かるようになるんです。粒見て『新潟のコシヒカリだな』とか『あきたこまちだな』とか。そのときの経験が後々すごく役に立っているなと感じますね。商売の原点です」

――なぜ、現場を重視するように説くんですか。

「同じ商談してても迫力が違いますやん。私は社員によく言うんです。『我々はコメ屋やから、コメを好きにならないといかん』と。産地に積極的に行って、農家の人に『今年の出来はどうですか』と話を聞きに行くのも大事なこと。現場を見て、現物を見て、これが基本ですよ。日本の農家がいかにコメに愛情を入れて作っているか。そういうのを知れば、同じコメを売るにしても変わってくる。現場を見さすことが、一番の人材育成なのかなと思うんです」

「私らの時代は新幹線もなかったですから、夜行列車で山形に行って稲刈りとか田植えとか手伝ったもんです。私自身、いまだに忘れられないおにぎりの味がありましてね。それが山形の田舎のおかあちゃんに作ってもらった味なんです。あの頃はササニシキだったかな。お昼どきに田んぼのあぜ道に座って、おかあちゃんがキンキンに冷えた麦茶とおにぎりを持ってきてくれてね。そりゃおいしいなんてもんやなかったです」

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