青年・壮年期は骨や筋肉が成長し運動に「強さ」が求められる。試合や競技会での結果を期待するあまりオーバーユース(使いすぎ)による肉離れ、アキレス腱断裂、疲労骨折などのスポーツ障害を起こすリスクが増える。
対策はまず準備運動と整理運動に静的ストレッチと動的ストレッチを組み合わせる。齋田特任教授は「運動強度の管理には最大1.3倍の法則がある」と話す。これは過去1カ月の強度の平均を1とした場合、0.8~1.3の範囲で運動をすればケガリスクを増やさずに能力向上が図れるというもの。継続的運動で少しずつ目標を達成したい。

中高年のスポーツは無理は禁物。臼井理事長は「骨や筋肉は新陳代謝も高いため傷害を受けても回復するが、関節の軟骨、椎間板は組織修復力がないため少しずつ損傷が拡大する」と指摘。
健康づくりで運動を始めるときは、40代なら軽いランニングやジョギング、50代ならウオーキングと年齢に合った強度の運動から始めたい。変形性膝関節症などヒザにトラブルのある人は、関節への負荷の小さい水泳や自転車などがお勧めだ。ウオーミングアップやクールダウンも若い人より丁寧に行いたい。
また、中高年には相手次第で無理をするチームスポーツより個人スポーツが向いているが、斎田特任教授は「運動習慣が長続きしないなら、仲間と一緒にできる無理のないスポーツを探すのもいい」とアドバイスする。
初めて歩いたときから高齢になるまで、年代ごとに自分に合った運動を継続するのがカラダづくりに重要だ。
(ライター 荒川 直樹)
[NIKKEI プラス1 2022年9月10日付]