経営の過程 若手に伝授

「『CEO室』を設け、若手に経営の中枢を見せる機会を与えています。経営陣がどのような情報を共有して議論し、どのように意思決定しているのか。プロセスを知り経営を実践的に学んでもらうのです。自らの部署の外に目を向け、視野を広げることにもつなげる狙いです」

――コロナ禍の今、リーダーとして何が求められていると思いますか。

「リーダーに常に求められるのは『荒天への備え』だと思っています。コロナ禍が一刻も早く収束するのが望ましいのは言うまでもありません。一方、当社の事業から見れば、新型コロナの感染有無を判定するPCR検査や抗原検査が大きな売り上げにつながっていることも事実です」

「特定の事業で大きな収益が上がっている時は全社のコスト管理が甘くなりがちです。ですが、業績が良い時がいつまでも続くはずはありません。コロナ禍が収束したとき、マイナスの側面だけが残るようなことがあってはならない。どんな荒天にも耐えられる会社にしていくことが私の役割だと考えています」

「臨床検査業界では従来型検査の付加価値は薄れる方向にあります。足元のコロナ禍だけに目を奪われず、業界の潮流を意識して5年先、10年先に向けた施策を打っていく必要があります。ゲノム(全遺伝情報)解析などの新しい検査、健康支援のためのヘルスケア事業など新規事業に挑んでいきます」

(大下淳一)

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室内ランと筋トレで活

自分が健康を損なうと会社の経営にも影響がおよぶとして、体調管理に気を使う。週末は自宅にある専用マシンを使ったランニングを欠かさない。時速6.3キロ、傾斜角3度で4.2キロを40分間かけて走る。その後、腹筋100回などの筋力トレーニングも課す。

酒は1杯目はビール、2杯目からはワインをたしなむことが多い。コロナ禍で自宅ですごす時間が増えたが、休肝日を設け飲み過ぎないよう気を付けている。犬の散歩が良い気分転換だという。

たけうち・しげかず 1953年生まれ。関西外大外国語学部卒、CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社。ソニー・ミュージックアーティスツ社長などを経て2016年6月、みらかホールディングス(現H.U.グループホールディングス)副社長、同年10月から社長。大阪府出身。
■リーダーを目指すあなたへ
仕事をえり好みしないでください。配属などの希望がかなわず逆風だと思っても、正面を向いて口を開けていれば、情報や経験という「風」を取り込むことで成長できます。顔を背けていれば成長は止まるでしょう。

[日本経済新聞夕刊 2022年5月12日付]

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