人気作品の編集者が解説 観察力で得るアイデア発見法『観察力の鍛え方』

世の中のちょっとした変化や兆しに気づける力は、ビジネスパーソンにとって強力な武器となる。先見の明があれば、需要を見込んで商品を企画したり、話題になりそうなキャンペーンを提案したりすることも可能だろう。さて、どうすれば鋭い観察力が身につくのか。

本書『観察力の鍛え方』によると、視覚的に得た情報を可能な限り言語化することで、観察力の精度を高められるという。著者は、『ドラゴン桜』や『マチネの終わりに』などの話題作を手掛けてきた編集者の佐渡島庸平氏。本書では、著者の指導を受けた新人マンガ家が、『漫画 君たちはどう生きるか』というメガヒットを生み出した例を引きながら、再現性のある観察力の磨き方を説いている。

見たままを言葉にする

そもそも「観察力」とは何なのか。本書では「客観的になり、注意深く見る技術」と定義づけている。観察力が鍛えられるとインプットの質が上がり、日常的に良質な情報が蓄積される。すると、「感性」が身につく。感性は気づきの質と量をアップさせ、結果、革新的なアイデアへとつながっていくという。

観察力をスパイラル的に高める方法として紹介されているのが、「観察サイクル」だ。これは「問い→仮説→観察」のサイクルを何度も回すことで対象の本質に迫るもの。フェルメールの絵画「牛乳を注ぐ女」を取り上げながら観察の手順が解説されている。

まず、「絵の真ん中にメイドの女性が立っていて~」と目に映るものを、ありのまま言葉に置き換える。隅々まで言葉にしていくと絵画の片隅に実はキューピッドが描かれていることに気づく。そして自然と「なぜキューピッドがいるのか?」の問いが生まれる。恋の象徴であるキューピッドの存在によって、「他にも恋にまつわる情報があるのでは?」という仮説が立つ。もう一度観察を行うと、気づかなかった部分がさらに浮かび上がる。このようにサイクルを回すことで、観察のクオリティーはどんどん上がっていく。

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