がむしゃらな挑戦 殻破る

――ご自身は07年の社長就任後から、異業種への参入を推し進めています。

「就任したときに、最も懸念したのは日本の農業の行く末です。日本の食料自給率は先進国で最低です。コメ卸の殻を破ってコメの消費を増やしていかないといけない。いかにしてコメを食べてもらうか。それが日本の農業を守ることにつながると考えました。だから、パックご飯の事業を始めたり、回転ずしチェーンの元気寿司を買収したり、少しでもコメを食べてもらおうとがむしゃらにチャレンジしていました」

「パックご飯事業は07年に立ち上げて、第1工場が09年に完成しました。その頃はまだマーケットも小さく、大赤字で大変でした。償却は重くのしかかってくるし、売れない」

「父親の代までずっとコメ卸でやってきたのに、パックご飯事業に進出するとか、海外に会社を出すとかで、反対の意見もすごかった。同業者から『またむちゃして』と言われることもありました。09年に急性骨髄性白血病で緊急入院しましたが、がむしゃらにやったことによるストレスがたたったんでしょうね。事業は4年間ぐらい大変でしたけど、第2工場を造った13年ごろから上向いてきました」

国を動かす志を継ぐ

――傘下の元気寿司とスシローグローバルホールディングス(当時)の経営統合を、最終的には断念しました。

「自分の世間体だけを気にしていたら、あの判断はできませんでした。確実に勝算があると分かったらとことん勝負にいきますよ。でもリーダーにとって、勝算が低いと思ったときの引き際こそ大事だと思います」

「元気寿司とスシローを統合させる成長戦略を描きましたけど、1年半かけてなかなかうまくいかなかった。お互い歩み寄れず、1+1が2を下回っていくやないかと。両社にとって良くないと判断しました。もちろんちゅうちょもしましたけど、それが社長の仕事ですからね」

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