胸骨圧迫はまず片方の手のひらの根元を相手の胸の中央に置き、もう片方の手を重ねて腕をのばす。さらに真上から垂直方向に力を入れる。ポイントは「強く、速く、絶え間なく」だという。胸が5センチほど沈む程度の強さで、1分間に100~120回のテンポを保つ。交代時の中断は最小限にとどめる。坂本病院長は「1回ごとに力を抜き、胸の位置を元に戻すことも重要だ」と指摘する。

コロナ感染対策としては胸骨圧迫を始める前に、倒れている人の鼻と口をハンカチなどで覆う。マスクをしていればそのままにして外さない。他にも反応や呼吸を確認する際、相手と自分の顔は近づけすぎない。処置を終えた後には速やかに手と顔を洗う。こうした点に注意したい。

AEDが届いたらすぐ電源を入れ、音声案内に従う。石見教授は「AEDの電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%低下する。素早く行動してほしい」と訴える。

実際に手順を体験しておくと、いざというとき動きやすい。消防署などが救命講習会を開いている。現地に出向くのが難しい場合も、日本AED財団(東京・千代田)ではオンラインで講習を企画しており、パソコンやスマートフォンを通じて参加できる。コロナ禍による変化を含め、最新情報を学んでおこう。

(ライター 田村 知子)

[NIKKEIプラス1 2021年10月2日付]

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