ウイスキーの聖地を探訪 英アイラ島の究極スモーキー

2022/3/13
アードベッグの魅力を語るビジターセンターのマネジャー、ジャッキー・トンプソンさん

英北部グラスゴーからプロペラ機で西へ約40分。アイラ島の小さな空港に降り立つと、数軒の民家や小屋が見えるほかは牧草地がどこまでも広がっていた。

ウイスキー愛好者から「聖地」とも呼ばれるこの島には9つの蒸留所が稼働している。南岸の一番東にあるのが島内でも長い歴史を持つアードベッグ蒸留所だ。

アイラ島のウイスキーといえば何といってもピート(泥炭)由来のスモーキーな香りが特徴だ。1815年創業のアードベッグは、その中でもひときわ強烈な個性でファンをとりこにしてきた。

ピート香の強さはフェノール値という単位で表される。アードベッグは約55PPM(PPMは100万分の1)とアイラで最大級だ。ピートが念入りに炊き込まれた大麦麦芽を使い、やみつきになる煙臭さが生み出される。

海に面し、磯の香りが漂うアードベッグ蒸留所(英北部スコットランドのアイラ島)

口に含むとまずスモーキーな香りに包まれる。だが舌先で転がしているとかんきつ類のような爽やかな後味が広がる。甘美なフルーティーさも備えるバランスの良さが特徴だろう。

「秘密の一つが、あのピューリファイアー(精留器)よ」。ビジターセンターの責任者、ジャッキー・トンプソンさんが巨大な蒸留釜の上部を指して教えてくれた。沸点の違いを利用して高いアルコール分を取り出す蒸留はウイスキー造りの心臓部だ。