台湾茶のカフェや台湾家庭料理レストランも
人気の秘訣は物販だけではない。台湾の家庭料理を楽しめるレストラン「食習」、本場の台湾茶を楽しめるカフェ「ウーロンマーケット茶市場」も併設し、台湾の郷土料理を提供している。あえて家庭料理に絞ることで「台湾に行かないと体験できない価値の提供をしたかった」という。併設するカフェではその場でプロが煎れた台湾茶を楽しむことができる。
台湾に関するセミナーも開催している。自宅でも再現できる台湾茶の煎れ方を専門家に学ぶ教室や、台湾旅行で使える食事シーンの中国語教室などが盛況で、満席御礼が続く。
近鉄百貨店が台湾に特化した売り場の展開を始めた背景には、コロナ前からの衣料品部門の苦戦がある。ファストファッションなどの台頭で、同社の売上高は衣料品に限ると09年に900億円を超えて以来右肩下がりだ。コロナ前の19年は約600億円と、09年比で3割以上減ったうえ、売上高全体に占めるシェアも落ちた。
そんななか目をつけたのがFC事業。これまでに「成城石井」や「ファミリーマート」などとFC契約を結び展開してきた。21年2月期時点で売上高80億円のFC事業を、25年2月期までに150億円へと拡大させる計画だ。
FC化戦略を進める中で有力なコンテンツと判断したのが台湾だった。日本政府観光局(JNTO)によると19年の台湾向け日本人出国者数は216万人。15年の162万人から右肩上がりで増加してきていた。
今後は郊外店舗や近鉄沿線にも神農世活を展開する予定だ。現在はFC加盟店の位置づけだが、店舗作りのノウハウを得た後は、国内企業に神農生活のブランドを提供するフランチャイザーとしての展開も視野に入れる。
(安田龍也)
[日経MJ 2021年12月1日付]
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