NFTはコンテンツ大国の日本向き
本書にもある通り、2021年に香港企業のアニモカ・ブランズは、同じ香港のサンリオデジタルを買収した。これは、ゲームやコレクター向けコンテンツなど、同社のIPを活用したNFTビジネスに大きな可能性があるからだろう。
世界中のプレーヤーが有力なIPをねらう中、コンテンツ大国の日本は、その強みを生かせばNFTを追い風にできると、天羽氏はいう。
一方で、インフラや法的整備は追いついていないと指摘する。ネットワーク手数料は高騰しており、不正行為に対する規制も十分ではない。日本のコンテンツの保護、さらにはNFTの普及に向け、課題の早急な解決が求められる。
手で触れることのできないデータに価値がつき、資産となることに、高揚感と若干の空恐ろしさを感じる。デジタル資産に囲まれた世界は、当たり前になっていくのだろうか。まもなくやって来るであろうNFT時代に備え、ぜひご一読いただきたい。
今週の評者 = 川上 瞳
情報工場エディター。大手コンサルティングファームの人事担当を経て、書評ライターとして活動中。臨床心理士、公認心理師でもある。カリフォルニア州立大学卒。
情報工場エディター。大手コンサルティングファームの人事担当を経て、書評ライターとして活動中。臨床心理士、公認心理師でもある。カリフォルニア州立大学卒。