「混ぜる」調理家電、使い分けのコツ 時短にも活用

フードプロセッサーにミキサー、片手で扱えるハンドブレンダー。食材を混ぜ合わせる便利な調理家電はいろいろあるが、どれを使えばいいか悩ましい。それぞれの特徴を押さえておこう。
食材を細かくして混ぜ合わせる調理家電というと、日本では松下電器産業(現・パナソニック)がミキサーを1952年に発売。その後、各家庭に普及していった。今ではみじん切りに特化したチョッパーや茶葉などを粉末状にするミル、果物や野菜をジュースにするジューサーなど種類は豊富になった。付属品を組み合わせるなどして、様々な使い方に対応できる品も増えてきている。
一方でそれぞれの調理家電がどう違うか、よくわからないとの声も聞かれる。食材を砕いて混ぜる調理家電を多く扱うパナソニックで関連商品企画を担当する山口博之さんに、よく目にするフードプロセッサー、ミキサー、ハンドブレンダーの特徴を聞いた。
フードプロセッサーは大きな刃が付いていて、野菜のみじん切りや肉・魚のミンチなどに使う。バターを粉と切り混ぜてクッキーやケーキの生地をつくるのにも対応。食材の形や食感が残るのが特徴で、下ごしらえに力を発揮する。刃を替えて野菜の薄切りや大根おろしもできる。
ミキサーは高速回転する刃で食材を細かく切り刻みながら、液体と一緒にかき混ぜて液状・ペースト状にする。容量が大きく据え置き型の品が目立つ。スープやスムージーづくりに向いている。
ハンドブレンダーはミキサーと同じく、切り刻んで液体と一緒にかき混ぜてなめらかにする調理家電だ。片手で操作でき、調理している鍋の中で使えるのが特徴。付属品を使って野菜や肉を刻んだり、生クリームなどを泡立てたりできる商品もある。
向き不向きはあるが、付属品によって他の調理家電のような使い方もある程度はできる場合が多いようだ。

山口さんは「ハンバーグやギョーザなど食材をみじん切りにする工程の多い料理ではフードプロセッサーが便利」と話す。スープづくりにはミキサーもハンドブレンダーも使える。多めにつくるなら容量の大きいミキサーが適しているという。一方、ハンドブレンダーは調理した鍋の中でかき混ぜられるし、鍋にスープを移す手間が省けるなどの利点がある。食材の量や使い勝手で判断したい。
ただし、こうした調理家電で乾燥した豆や昆布など堅い食材、イモ類といった粘りのある食材を扱うと、故障の原因になるので注意。堅い食材を扱うときはミルを選ぼう。高回転数のミルを使えば、例えば煎り大豆を粉末状のきなこにできる。価格が高騰する小麦粉の代わりに、ミルで米を砕いて粉にし、パンづくりを楽しむ人もいる。
包丁やまな板も使わない「時短」メニューにも役立てたい。山口さんによると、ミキサーであればトウモロコシの缶詰と牛乳で冷製コーンスープ、バジルの葉とニンニクや油でパスタソース、ナッツやバナナと牛乳でスムージーが手軽にできる。室温に戻したクリームチーズとヨーグルト、ゼラチンなどを混ぜ合わせて冷やし固めればレアチーズケーキも簡単だという。
ハンドブレンダーを使う時短料理ならば野菜やクラッカーなどにつけて食べるディップが考えられる。スモークサーモンやサラダチキン、生ハムとクリームチーズや生クリームを混ぜ合わせる。
調理器具に詳しい料理研究家の野口英世さんはフードプロセッサーを使って簡単にできるドライカレーのレシピを教えてくれた。タマネギなど他の料理で残った野菜の小片をそのまま、豚の薄切り肉とともに入れて切り刻んだ後、フライパンで炒めて味を調えるだけだ。
実際にパナソニック製品を借り、ミキサーでアーモンド入りスムージーとレアチーズケーキ、ハンドブレンダーでツナ缶のペースト、フードプロセッサーでドライカレーを試しにつくってみた。材料をそろえれば、チーズケーキを冷やし固める時間は必要だったものの、30分ほどで4品が完成した。
山口さんは「それぞれの調理家電のメインとなる機能の使い勝手や性能をさらに進化させていきたい」と強調する。つくりたいレシピを具体的に思い描くと、調理家電選びもスムーズにできそうだ。
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時短に活用 料理研究家の見方

料理研究家の野口さんが最もよく使うのはフードプロセッサーだ。「みじん切りが手早くでき、時短料理には欠かせない。疲れて帰宅したときの定番はドライカレーやシューマイ」と話す。容器がにおいのつきにくいガラス製で食洗機にも入る製品を愛用しているという。ハンドブレンダーはマヨネーズやデザートに添える少量のホイップクリームづくりに、ミキサーは毎朝の飲み物づくりに活用している。購入する際には「あまり活用できずに無駄な買い物とならないように、使用目的をはっきりさせるとよい」と助言する。
(ライター 松野 玲子)
[NIKKEI プラス1 2022年7月16日付]
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