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「育児を主体的に担う人=母親」という決めつけはもうやめにしよう

「育児を主体的に担う人=母親」という決めつけはもうやめにしよう

日経 X woman

『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(日経BP)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに掲載している本書から、駄言の実例とその駄言を生んでいる背景の分析を公開。今回は「子育て」に関する駄言「その1」を紹介します。

「ママなのに育休取らないの?」

厚生労働省の2019年度「雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業(育休)取得率は19年で83%です。母親だからといって必ず育休を取得するわけではありません。父親が育休を取得する場合もあれば、育休を取得せずに仕事を続ける場合もあります。子育てのやり方にも多様性が認められるべきで、「育児を主体的に担う人=母親」という決めつけはもうやめにしましょう。

『#駄言辞典』を作るに当たってウェブ上フォーマットとツイッターで駄言を募集したところ、子どものいる女性が飲み会に参加したり、夜や休日に出勤したりすると「お子さんはパパが見ているんですか? いいパパですね!」と言われるというケースが複数寄せられました。「パパに子どもを預ける」も、よく使われる駄言です。二人の子なのに「パパに預ける」というのはおかしい話。ママのほうが日ごろから主体的に育児に関わっているという前提があるからこそ生まれてしまうセリフです。

「やっぱりママが一番だよね」も、子どもの「ママ大好き」な気持ちを表すポジティブなフレーズに聞こえますが、実は問題のある発言です。パパが子どもの前で言って、育児をママに押し付けるときにも使える一言だからです。また、家族の内実を知らない第三者が無責任に使うことで、言われた家族を不用意に傷つけてしまう可能性もあります。

「お母さんは3歳になるまでは子どもと一緒にいたほうがいい」という「3歳児神話」も、専門家によって否定されている駄言です。『厚生労働白書(1998年版)』(厚生労働省)の第1編・第1部・第2章にも、「三歳児神話には、少なくとも合理的な根拠は認められない」と明記されています。

にもかかわらず、まだ3歳児神話をひきずっている人は数多くいるようです。13年、当時の安倍政権が、子が3歳になるまで育休を取得できるようにするという指針を出した際の「3年間、赤ちゃん抱っこし放題」という発言にも、そうした背景があったのでしょう。

パートナーとの家事・育児の分担はカップル二人だけの問題にとどまりません。社会の無理解や不勉強が、実態の改善を阻んでいるという見方もできます。逆に言えば、周り(社会や身近な人たち)がカップルに対して有効な情報やメッセージを発信し続けることで、家事・育児における性別役割分業は変えられる可能性もあるのです。

「赤ちゃんはママがいい」

【「子育て」に関する駄言~その1~】
書籍『#駄言辞典』にも掲載されている、公募で集まった「駄言」の一部を紹介します。以下、太字部分が駄言です。応募時に寄せられたコメントや投稿先も併せて掲載します。

「母性」
という言葉にすごく迷惑しました。何のエビデンスもないのに女性なら全員あると思われてる虚像ワード。(ツイッターより)

「母親なんだから」
(ツイッターより)

「母は強し」
(ツイッターより)

「良妻賢母」
(ツイッターより)

「子育ては母親にしかできない大切な仕事」
へ? 母乳以外は男もできるわ。(ツイッターより)

「やっぱりママが一番だね」
ママだから一番なのではなく、日ごろ世話してくれて自分を見てくれて同じ時間を過ごしてくれる人が一番なだけ。パパの育児への関わらなさを棚に上げて都合よく性別の問題にしないでほしい。(ツイッターより)

「やっぱママじゃないとダメみたい~」
夫のこのセリフはマインドごと滅びろ。「ワンオペ育児」も絶滅しますように。(ツイッターより)

「赤ちゃんはママがいいに決まっている」
大臣の発言です。(ツイッターより)

「お母さんは、子どもが3歳になるまでは一緒にいたほうがいいよ」
産休前に上司から言われたこと。(ツイッターより)

「そんなに早く復帰するなんて、赤ちゃんがかわいそうだよね」
(ツイッターより)

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