
防寒を意識するあまり、着ぶくれしがちな冬の装いですが、おしゃれに着こなせる技があります。それは異素材ミックス。ニットとレザー(皮革)といった具合に、風合いの異なる素材同士を引き合わせると、見た目のニュアンスが深まります。重たさをそぐ素材を生かせば、シャープな着映えに。質感の違いから、味わい深いムードも引き出せます。
2021年秋にデビュー30周年を迎えた芦田多恵氏がデザインするブランド「TAE ASHIDA(タエ アシダ)」は2021-22年秋冬コレクションで異素材ミックスのお手本とも呼べそうなスタイリングを披露。今回はその中から大人の女性にふさわしいコーディネートをえりすぐってご紹介します。
ざっくりニットもコントラストでくっきり

寒い冬にぬくもりをもたらしてくれる素材はやはりニットが一番。ニットウエアは冬の必需品的アイテムで、特にボリューミーなタイプは癒やしムードをまとえる点でも今の気分にマッチ。かさばって見えがちなところが難点といわれてきましたが、つやめきを帯びた異素材ボトムスで合わせれば、膨張イメージを抑え込みやすくなります。
ケーブル編みのニットを高密度タフタ(細いうねのある薄地平織物)で切り替えたトップスに、和風の花模様を配したスカートを引き合わせました。斜めの段々が動きを印象づけるティアードスカート(注:「ティアード」は段になった、の意味)の効果で、優美な風情に。全体をグレーのトーンでそろえつつ、素材感を上下で変えていることで、適度なまとまりが生まれています。スカートの光沢が量感をそぐ効果を引き出しているのもポイントです。

冬服がかさばって見えやすいのは、厚手の生地が体を覆ってしまうから。逆にいえば、冬にあえて透ける生地を取り入れれば、重たいイメージを遠ざけることができるわけです。春夏が「定位置」のシアー(透ける)素材を冬ルックに生かす意味がここにあります。
襟元が首から離れたオフネックのジャージートップスは、程よく隙間をこしらえてくれます。リラックスした雰囲気を醸し出すのも、オフネックのよさ。シアー素材のティアードスカートは裾が透けて、脚線が見える仕掛け。さらにロングブーツでレッグラインを引き締めました。ニットトップスとの風合いの違いが全体を立体的に見せ、軽やかさも呼び込むスタイリング。上半身のカジュアルさとボトムスのはかなげ感が互いを引き立て合っています。