男の育休拡大へ、「心の壁」なくせ取得率向上へ自治体動く

2013/5/19
「子育て同盟」の平井・鳥取県知事(左から2人目)らは安倍首相を表敬訪問した(4月9日、首相官邸)

上司や同僚の目が気になって、なかなか取得率が上がらない男性の育児休業。地方自治体が取得への「心の壁」を取り除こうと様々な施策に取り組み始めた。企業に助成金を出したり、首長自ら「手本」を示したり。子育てしやすい環境をアピールすることで、最終的には地域の人口増につなげる狙いだ。

「地域や国に希望と活力を取り戻す」――。先月9日、都内で開かれた「子育て同盟」の発足式で鳥取県の平井伸治知事らはこう宣言した。

「休業」でなく「貢献」

この同盟は鳥取や広島など子育て支援に積極的な10県で発足。7月下旬には鳥取でサミットを開催し、国への政策提言をまとめる。その一つが「育児『休業』」という言葉の見直し。「子育ては社会への貢献。『休業』という言葉はそぐわない。用語が変われば『上司の目が気になって取りにくい』といった風潮も変わるのでは」(子育て応援課)との期待を込めた。

鳥取は県を挙げて子育て支援をしている姿を内外にアピールしようと、2010年から「子育て王国」を名乗る。11年には従業員が育児休業を取得する企業に助成金を出す制度(従業員数が100人以下の場合、最大35万円)を設けた。

こうした取り組みは徐々に効果を上げつつある。県内男性の育児休業取得率は06年の0.8%から12年には3.1%まで向上。全国の男性の育児休業取得率(11年度、2.63%)を大きく上回る。

トップダウンで意識改革

国も危機感を強める。国立社会保障・人口問題研究所によると、国の活力といえる15~64歳の生産年齢人口は60年には10年比で4割以上減少する見込み。森雅子少子化相は「国家存亡の危機」と強調。その上で「子育ては何より崇高な仕事であるとの意識を広め、育休を取得しやすい社会にすべきだ」として、来年度にも新たな支援策を創設する考えだ。

首長自らが手本となり、育休を取得する動きも全国で広がっている。10年4月、13日間の育休を首長として初めて取得した東京都文京区の成沢広修区長は「初めから効果を狙ったわけではなかったが、結果的に『何となく取りにくい』といった職場内の雰囲気を一変できたのではないか」と話す。