「他社が下げるならうちも下げる」。2013年9月の新iPhone発表後、各キャリア(携帯電話事業者)は口々にこう言い、発売前日までキャンペーン割引の後追いや見直しを続けた。
その結果、一見するとNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社の料金体系は似たり寄ったりという印象を受ける。しかし、キャンペーンの種類や仕組みは複雑で、割引額の手厚さには各社の思惑がある。ユーザーは、選ぶキャリアや買い方次第で損得が変わってくる。ここでは、その中身をひもときつつ、最も「お得」な買い方を探りたい。
ドコモは機種変更でも「0円以下」
まず、基本使用料はドコモの780円に対し、auとソフトバンクは980円。200円高いが、同一キャリア間の通話が1時~21時は無料のため一長一短がある。パケット定額料は3キャリア横並びで、通信料金に大きな違いはない。
一番の違いは、新iPhoneの“実質負担額”が0円以下になるケースだ。各社とも最大24カ月、端末ごとに設定した一定額を利用料金から割り引くサービス(ドコモ「月々サポート」、au「毎月割」、ソフトバンク「月月割」など)を用意。端末価格と総割引額が同額なら、端末の実質負担額は0円になる。
auやソフトバンクでは、新規購入もしくはMNPで転入した場合、「iPhone 5c」の16G、32GB(バイト)モデル、「iPhone 5s」の16GBが実質0円以下になる。一方ドコモでは、同じ3モデルが新規購入、MNP(番号持ち運び制度)に加え、機種変更でも実質0円以下になっている。
元ドコモユーザーに優遇策
今回の料金設定について、NTTドコモの吉澤和弘経営企画部長は「2つの意図がある。一つは従来型のフィーチャーフォンを使い続けてくれた方に0円で手に入れてもらいたい。もう一つは当然、ドコモから出ていってしまった方に戻ってきてほしい」と話す。
iPhoneの投入で出遅れたドコモは、2013年8月まで55カ月連続でMNPの転出超過が続いている。これを食い止めるための一手が機種変更での実質0円であり、他にも複数の手を打つ。
「ドコモへおかえり割」は、ドコモからMNPで転出したユーザーが再びドコモに戻った場合の優遇策。通常、MNPでドコモに転入すると基本使用料が最大13カ月間無料(ドコモへスイッチ割)になるが、元ドコモユーザーの場合は最大25カ月に拡充され、かつて解約した際のドコモポイント相当額も端末代金から割り引かれる。また、auとソフトバンクで使っていたiPhoneの下取りにも対応。他社からの転入を狙った“呼び水”と位置づける。