靖国からも富士が見える
10カ所からは漏れたが、外すには「惜しい」場所もある。田代さんが「○○富士」と命名した3カ所を、番外編として付け加えた。
まずは千代田区の靖国神社。靖国通りの田安門前交差点から靖国神社南門までの約1キロ、天候に恵まれれば富士山の頭の部分がちらりと見える。
高いところに昇らなくても、富士山は見える。こうした場所を田代さんは「路上富士」と名付けた。ビルとビルの間から見えたり、歩道橋の上に頭を出したり。探してみるのも面白い。
路上富士・橋脚富士・パール富士……
23区内ではないが、狛江市の多摩水道橋では、橋脚のわずかな隙間から富士山が見える。橋脚の形も富士山のようだ。こうした見え方を田代さんは「橋脚富士」と名付けた。
最後に「パール富士」。太陽が山頂にかかるダイヤモンドに対して、月がかかるのがパールだ。関東地方から眺める場合、満月が富士山頂に沈むわずかな時間に、月光が真珠のような優しい輝きを見せる。晴天の満月という条件に加え、季節によって見える場所が変わってくる。緻密な計算が必要となるため遭遇するのが難しい現象だ。
田代さんは千葉県館山市の城山公園で撮影に成功した。山頂付近がうっすらと照らされる姿は幻想的だ。城山公園からは昼間も太平洋越しの雄大な富士山が楽しめる。