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消える日本の番組…吉本興業「アジア進出」の勝算

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NIKKEI STYLE

 吉本興業の芸人が一挙に集結、元AKB48の前田敦子が初のレッドカーペットを披露するなど、例年通り話題を集めた「沖縄国際映画祭」。今年はこの華やかな映画祭の裏側で、吉本によるアジアを中心とした海外への番組販売ビジネスが本格始動した。海外のテレビ局が期待するのは、吉本の独自コンテンツだけでなく、日本のテレビ番組をスピーディーに調達する能力。そこから見えてきたのは、日本のテレビ局による海外番組販売ビジネスの課題だ。タイでは地上波から日本の番組が消えた。残された時間は短い。

3月23~30日までの8日間、沖縄県宜野湾市などで行われた沖縄国際映画祭。吉本興業主催の同イベントは今年(2013年)で5回目を迎え、動員は過去最高の42万人超を記録した。バラエティ番組とのコラボレーションなど、例年通り話題を振りまいた。

華やかな映画祭会場のすぐ横、ラグナガーデンホテルで開かれたのが、今回3回目となった「沖縄コンテンツバザール」だ。日本の番組コンテンツを世界へ売る、特にアジアへの販売を具体化するのが目的。日本からは全キー局、準キー局の海外番組販売担当者が、海外からは米国及びアジア各国のテレビ関係者らが来訪した。

日本苦戦の大きな要因は「音楽のライツ」

沖縄コンテンツバザールの目玉の1つが、午後から行われた「アジアコンテンツパネルディスカッション2013」。アジア各国のテレビ局担当者と日本の海外番組販売担当者が一堂に会し、アジア市場でなぜ日本が苦戦しているか、対照的に伸長を見せる韓国の方法論との比較も織り交ぜつつ、積極的な議論が繰り広げられた。

「韓国は海外向けに番組を作っているが、日本は国内向け。特に音楽のライツ(権利)が足を引っ張っている」と口火を切ったのは、香港で数多くのチャンネルを有するTVBのCEO(最高経営責任者)を務め、吉本東風衛視の立ち上げに参画したジョニー・ヨウ氏。台湾衛星テレビ局・中天電視のマギー・キュウ氏も同じく、「コピーライツの処理が進まず困っている。日本テレビと合作で『星の金貨』をリメイクした際も、BGMを使用するのに、相当な作業が必要でした」と口をそろえた。

90年代全盛を極めた日本に代わり、アジア各国のドラマ界を席巻する韓国を代表して、MBCのキム・ヨンヒ氏は、海外へドラマを売り込む際のポイントについて、「権利関係のクリア」「政府の支援(助成金、対外政策など)」、そして一番重要なのは「音楽」――の3つであると説明。「K-POPはアジア全域で人気。それが各国の韓国に対する好奇心を高め、ライフスタイルを提示する韓流ドラマの販売に好影響を与えている」(キム氏)。

香港メディアプラスのジミー・ジュアン氏も、「日本はAKB48ぐらいだが、韓国は大スターばかりで、人気はアジア級。その名声は番組輸入時の力となる。また、タレントを呼んでの番組宣伝を期待できるのも強み」と語る。

各局と密接な吉本が仲介してアジアへ番組販売

このミーティングの直後に発表されたのが、前出のヨウ氏が立ち上げた番組制作・プロデュース、チャンネル運営、宣伝広告業務などを環太平洋レベルで行うコンテンツランドと吉本興業の事業提携だ。「現在、アジア各国でテレビ放送のデジタル化が進み、チャンネル増加に伴うハイビジョン番組調達が急務。日本の各テレビ局と密接な関係にある吉本とタッグを組むことで、これに応えていく」(ヨウ氏)。

吉本側の代表を務めるアジア・海外事業センター長の高龍太郎氏は、1年前の同映画祭で発表&スタート、アジア及び北米、欧州で視聴可能な国際衛星放送・吉本東風で、日本のコンテンツの番組販売への手応えをつかんだと言う。

「吉本東風で流したバラエティ番組が、各国からクオリティー、作り方とも褒められました。ヨウ氏は香港TVBのCEOを務め、吉本東風の展開をも成功させるなど、アジアをはじめ海外のテレビ番組販売事情に精通している。これにスピードがウリの吉本がタッグを組めば、今まで障壁となっていた部分が解消されるはず」

具体的な施策としては、「版権処理やローカライズといった煩雑な作業を一括で請け負う。また、日本は、韓国が得意な(複数の番組をセットにした)パッケージ販売ができていない。そこで、局から販売可能な番組のリストを預かり、それを基にパッケージ提案を行うなど、適切なマッチングを行っていく」(ヨウ氏)。また、アジアを中心に2000万世帯で視聴可能な吉本東風で吉本の芸人を宣伝に多用。「韓国のやり方をまねて、衛星やネットでもプロモーションビデオを流していく」(同)。

こうした動きに、今回沖縄を来訪したアジアのテレビ局関係者たちは、「CMのセールスも含め、全面的に協力したい」(香港ジュアン氏)など、軒並み歓迎の意を示した。

現地の番組制作力アップで、苦境に立つ日本

ただ、状況は刻一刻と厳しくなっている。テレビ朝日の国際ビジネス開発部長の上田直人氏は、「アジア諸国で自社制作力が高まっている。60年代、日本のゴールデン帯で主流だった欧米の番組が、自国(日本)で制作した番組に取って代わられた現象が、今まさに起きている」と指摘する。

タイのデジタルコンテンツ協会のトップを務めるPramote Chokesirikulchai氏は、「日本のテレビドラマは20年前は強かったが、今は韓国が主流。タイでは日本の番組は地上波からなくなり、有料・衛星のみ。日本のカルチャーがある程度浸透していたシンガポールやマレーシアを除くASEAN各国の10代や若い働き手は、デジタル化が進むなど今まさにライフスタイルの転換期だが、そこでお手本となるのは政府のプッシュが強力で一度に大量な作品数を販売できる韓国で、日本の番組名は聞こえてこない。優位といわれているアニメも、韓国・中国の制作能力の向上で、取って代わられる日は近いだろう」と苦言を呈した。

テレビ朝日が『忍者ハットリくん』をインドに番販。好評の後、新作をインドで共同制作して日本に逆輸入したニュースは記憶に新しい。フジテレビは4月15日スタートの『ガリレオ』(現在は放送終了)を同月20日の台湾ほか70カ国で異例の早さで放送を開始。『名探偵コナン』などアニメが海外番組販売の8~9割を占めていたという読売テレビも、昨年度は国の支援を受け、タイとバラエティ番組の国際共同制作の実験を行っている。テレビ東京はシンガポールCNAの『ジャパン・アワー』に旅番組を提供。「継続することが親日につながる」(コンテンツビジネス局の利光裕氏)と意気込む。

「まずは、事業の7割を日本の映像コンテンツで行う」(ヨウ氏)とするコンテンツランドは、(反日の心配が少なく)経済に特化した香港に本社を設立。また、吉本東風を「ベトナム、タイ、インドへの配信も視野に入れ、中国大陸という域ではなく、中華圏全体に広げていく」(同)。

劣勢中の日本のアジアにおける映像コンテンツ販売だが、例えば「時間がかかると諦められていたドラマも、音楽を変えればいける」(吉本の高氏)。吉本のスピードと香港TVBからの人脈を誇るヨウ氏の強力なバックアップを得てどう変わるか。この沖縄が、キックオフとなった。

(日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2013年6月号の記事を基に再構成]

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