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「子どものワクワクを作る療養環境」を整えるには

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 小児がんなど小児慢性疾患で、長期間、家族や友達と離れて入院生活を強いられる子どもたちがいる。様々な制約のある病院の中で、つらさや寂しい気持ちを少しでも軽減し、入院中の子どもをワクワクさせるには――。日本小児血液学会、日本小児がん学会、日本小児がん看護学会の3学会と財団法人がんの子供を守る会が、2010年12月19日、大阪市で開催した合同の公開シンポジウムで、病院内外で療養環境を楽しく明るくする具体的な工夫が紹介された。

「子どものワクワクを作る療養環境」と題されたこの公開シンポジウムでは、大阪府内の病院に勤務する保育士、管理栄養士、府内を中心に活動するボランティア、クリニクラウン(臨床道化師)らが壇上に立ち、それぞれの活動と子どもたちの反応やその効果を紹介した。

大阪府立母子保健総合医療センターでは、小児部門の7病棟で14人の保育士が勤務し、入院中の子どもたちに遊びを提供している。「楽しい大人」という立場で子どもたちとかかわる中で、子どもたちが病室では見せない表情を見せたり、入院生活に対する本音を保育士に漏らしたりすることもあるという。

大阪市立総合医療センター栄養部は、食事制限があっても、季節感と家庭的な食事を楽しんでもらおうと、工夫をこらした色彩豊かなメニューを入院中の子どもたちに提供する。化学療法の副作用による食欲不振や味覚の変化などに悩む患者・家族の相談も受けているという。

一方、大阪市立大学医学部付属病院では、病院を1つの「まち」に見立て、職員や地元のアーティスト、ボランティアの協力でアートプロジェクトなどを展開し、子供も大人もワクワクする空間に変身させている。

闘病中の親子の笑顔が喪失体験の癒やしに

こうした様々な試みの中で、どこの病院でも比較的簡単に実践できそうなのが、ボランティア活動の導入だ。

「私たちの活動は、わが子が入院中、子どもと一緒に楽しい時間を過ごしたいとの思いで始まりました。しかし、メンバーの子どもが次々と他界し、活動を始めて半年ほどで病院と縁が切れてしまいました。それでも、『子どもが笑顔で少しでも安心して入院生活が送れたら』『病院とずっとかかわり続けたい』との思いで活動を再開して14年目になります。入院中のお子さんたちは、私たちが病棟へ行くと、『今日は何をするの?』と楽しみに待っていてくれます」

そう話すのは、大阪府立母子保健総合医療センターで月2回、ボランティア活動をしているスマイルパンプキンの小橋千晶氏だ。病棟では、入院中の子どもたちと、牛乳パックなどの廃材を使ったおもちゃ作り、粘土遊び、プラ板製作などを行う。スマイルパンプキンのメンバーは現在4人で、同センターで子どもが入退院を繰り返す中で知り合い、全員、子どもが他界した体験を持っている。

小橋氏らは、製作活動以外にも、夏祭り、シャボン玉大会、ミニコンサートを企画したり、看護師主催の運動会を手伝ったりするなど、子どもも親も入院生活を少しでも楽しめるように多彩な活動を展開している。

病院スタッフ以外の人が訪ねてきて、一緒に工作をしたり遊んだりしている間は、子どもたちが病気や治療を忘れる時間になっているようだ。造血幹細胞移植治療の後、車いすから離れなかった子が、シャボン玉に夢中になるうちに自分で歩き出し、ミニコンサートでは、笑顔が消え口数も少なくなっていた女の子がマイクを持って一緒に次々と歌い出し、明るさを取り戻すきっかけになったこともあった。

さらに、定期的に病室を訪れるクリニクラウンも、子どもたちにとっては刺激的な存在だ。日本クリニクラウン協会では、2010年に15施設の小児病棟に約200回クリニクラウンを派遣し、約7000人の子どもたちとかかわった。クリニクラウンは、単に子どもを笑顔にするだけではない。子どもたちの発達を促し、自己肯定力や闘病意欲を高めることを手助けする存在だ。同会事務局長兼アーティスティックディレクターの塚原成幸氏は、「入院生活を送っていると、子どもたちは大人びてくるが、クリニクラウンと会うことによって自分らしさや子供らしさを回復できます」とその効用を話す。

こうした子どもへの働きかけの一方で、「入院している子どもの親という立場を体験したからこそできる役割を担うこともあります」と小橋氏は言う。時には、看護師から、病状が進みほとんど反応がなくなった子どもの母親の話を聞いてあげてほしい、と頼まれることもあるそうだ。

「わが子が他界してから、病院に足を踏み入れるのがつらくなったり、よく似た子を見付けて涙することもありました。でも、現在闘病している親子の皆さんと楽しい時間を共に笑顔で過ごす中で、私の方も、悲しく切ない喪失の気持ちが癒やされていきました」。そう小橋氏は語る。

院外で楽しい空間を作るアフラックペアレントハウス

こうした取り組みが徐々に広がっているとはいえ、残念ながら、保育士やボランティアの導入に積極的な病院ばかりではないのが現状だ。シンポジウムでは、会場にいた医師から、「ボランティアを入れたり保育士を雇用したりしたいが、病院側の理解が得られない。どうしたらよいか」という質問も出た。

座長を務めた大阪府立母子保健総合医療センター顧問の河敬世氏は、病院を運営する側の立場から、「関心を持っている医師が1人でもいると施設も変わってくる。まず、1歩を踏み出し、看護部長や病棟のスタッフの理解を得ることが大事」と助言した。保育士については、「保育士がいると診療報酬での加算※があるので、そういった制度を病院の上層部に知らせると理解が得られやすい」といったアドバイスも出た(※小児入院医療管理料に係る加算の施設基準)。

また、同シンポジウムでは、がんの子供を守る会ソーシャルワーカーの樋口明子氏が、同会がアフラックの支援を受けて運営する小児慢性疾患患者家族の総合支援センター「アフラックペアレンツハウス」(http://www.ccaj-found.or.jp/consultation/facilities/)を紹介した。ペアレンツハウスは、遠方から治療のために来ている患者家族の宿泊施設を併設し、2011年1月現在、東京に2棟(江東区亀戸と台東区浅草橋)、大阪(大阪市中央区)に1棟ある。運営は寄付金で成り立っており、宿泊費は1人1泊1000円(患児は無料)。樋口氏らがんの子供を守る会のソーシャルワーカーが常駐して患者家族、小児がん体験者の相談に乗り、患児、兄弟の気持ちのケアなども行っている。

2010年6月からは、「院外でワクワクした環境をつくれないか」と、大阪の1棟で、宿泊以外にデイユースとしての貸し出しも始めた。外出先に制限のある子どもが気晴らしをする場所として、プレイルームや図書コーナーを利用したり、家族で手料理や鍋を囲んだり、複数の家族がパーティーを開いたりといったことも行われているという。

さらに、療養生活が長かったために自分に自信が持てず、なかなか社会に出られないという小児がん体験者が、ペアレンツハウスで清掃活動を行うなど、社会人として自立を目指す場としても活用されている。

「私どもが提供するワクワクだけではなくて、ご家族や周りの皆さんが考えるワクワクを実現する場所としても、ペアレンツハウスを利用してほしい」と樋口氏は話している。

◆アフラックペアレンツハウス亀戸・浅草橋 電話:03-5833-2860

◆アフラックペアレンツハウス大阪 電話:06-6263-1415

(医療ライター 福島安紀)

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