2013/9/13

母親違いの兄弟が1都市で150人も 法整備に遅れ

日本でも2013年1月に、国内初の「卵子バンク」(ボランティアを募り、卵巣機能が低下した患者へ卵子を提供。患者の夫の精子と体外受精させ妊娠を目指す)を民間団体「卵子提供登録支援団体(OD-NET)」が開始した。しかし、卵子提供のルールを定めた法律はまだない。記者会見するOD-NETの岸本佐智子代表

 ただ、この新しいビジネスには法律が追いついていない。米ニューヨークタイムズ紙の2011年9月の記事によると、男性が精子バンクに精子を売る回数が制限されていないため、一都市内でなんと150人の異母兄弟が産まれるという困った事態が起きた。母親違いのこの子どもたち、さらには彼らの孫たちが、知らずに近親相姦の関係になる可能性がある。倫理的なジレンマはもちろん、近親相姦の結果、先天性障害などを持つ子どもの生まれる可能性を考えれば、危険な話である。イギリスやフランスなどでは、特定の男性が精子バンクを通して何人の子どもを作るかについて既に法的に制限がかけられている。

さらに、「あなたの父親は精子バンクよ」と聞いた子どもの心理的な動揺は計り知れない。1970年代、80年代に産まれた、人工授精や精子バンク第一世代が成人した今、やっと私たちは子どもたちへの影響について学び始めた。米ワシントン・ポスト紙は、そのようにして産まれた子どもたちが、父親の病歴を知らない危険性を伝えている。大人が子どもを持ちたいという欲望を、どんな手段を用いてでも果たそうとするのは、産まれる子どもにとって自分勝手な行動なのだろうか?

好きなときに一人で産むのも女性の権利?

米国にはそんな「自分勝手」を果たして有名になった人がいる。

カリフォルニア州のナディア・スールマンさん(38歳)は2009年、八つ子を産んで話題になった。彼女の場合、精子バンクでなく「ある友人」から寄与された精子を利用しての体外授精だが、無職で、両親と同居しつつ、すでに同様の手段で産んだ6人の子どもを、生活保護を受けながら育てていた。そんな彼女の身勝手な妊娠と、それを可能にした不妊症専門医(患者の希望に合わせて、12という大量の受精卵を子宮内に戻し、八つ子が産まれた後に免許はく奪となった)に、彼女の老いた両親だけでなく、アメリカ中が憤った。彼女は精神病を病んでいる、という説もあるが、このような情報を知った今、数年前のように「好きな時に一人で産むのも女性の権利だ」とは単純に言えなくなっているのである。