乳がんだけじゃない バストのトラブルと見つけ方

痛みがあったり、しこりのようなものが触れたり……。乳がんに注目が集まるが、バストのトラブルは乳がんだけじゃありません。そのトラブルの多くは良性の病気だけど、症状は不快なことも。典型的な乳房のトラブルとその見つけ方・治し方を紹介します。

バストの状態はホルモンの影響を受けやすい

しこり=乳がんとは限らない。しこりがあっても20~40代前半の女性はほとんどが乳腺線維腺腫や乳腺症などの良性の疾患。30代前半で見ると70%が良性なので必要以上に怖がらないで。でも自己判断は禁物。気になる症状があれば必ず、医療機関を受診しよう(データ:日本医師会雑誌108(8):1047-1051、1992より一部改編)

あなたはバストのセルフチェックを行っている? 定期的にバストを観察し、触っていると、わずかの変化にも気づきやすくなり、乳がんの早期発見にもつながる。

不安な“異常”の代表はしこり。これは乳がんの代表症状でもある。しかし、「20~40代のしこりのほとんどは、良性疾患。ほかにも、バストの気になる症状の上位に挙がる、痛み、張り、硬さ、ひきつれ、へこみ、乳頭からの分泌物なども多くは良性疾患」と田園調布ファミリークリニック乳腺クリニカの乳腺外科医、片岡明美さん。「乳房の症状には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが大きく影響する。その代表が月経前に多い乳腺症」と片岡さん。

ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の島田菜穂子院長も「来院する20~40代女性の多くは、乳腺症、乳腺線維腺腫、乳腺のう胞などの良性疾患。でも中には乳がんの人も。触ったり、見ただけでは私たちプロでも判別がつかない」と話す。症状があったら自己判断せず、病院で画像検査を受け、診断してもらおう。

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(イラスト:柿崎こうこ、以下同)

あなたは行っている? 月に一度のバストチェック

自己チェックは、普段から自分の乳房を気にする習慣ができるので毎月1回は行って。月経開始から5~7日目くらいがお薦めの時期。月経前から起こる、乳房の張りが治まって、やわらかく安定する時期だからだ。

【 見て分かる異常 】
□ ひきつれ
□ へこみ写真1

鏡の前で腕を上げてみて、左右差はない? 皮膚のくぼみやひきつれ、へこみ、赤く腫れていたり、皮膚が厚くなっていないかをチェック。わきの下や鎖骨まわりの変化にも注意を。

【 触って分かる異常 】
□ しこりがある
□ 痛みがある
□ 乳頭から分泌物や血液が出る写真2

4本指をそろえ、指の腹と肋骨で乳房を挟む感じで矢印のように触る。わきの下も忘れずに。しこりや痛みの有無をチェック。最後に乳首をつまみ分泌物が出ないかを確認。


写真1 (写真1、2の提供:片岡明美医師)
写真2

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ひどい痛みがなければ治療は不要