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アリやカタツムリが群がる「甘いオシッコ」の正体 コスタリカ昆虫中心生活

2014/8/17

ナショナルジオグラフィック日本版

カリブ海側のコスタリカの低地熱帯ジャングルは、ムシムシと暑い。気温は30℃を超え、湿度も100%近い。暑い所が苦手なぼくは、あまり向かわない場所だが、数年前、ハーバード大学のキリギリス類の専門家で、写真家でもあるピーター・ナスクレンスキー博士とそんなジャングルを訪れたことがある。夜中にキリギリスの採集にでかけたのだ。

エンコフォラ・サンギネア/Enchophora sanguinea (カメムシ目:ビワハゴロモ科) お尻の先にある細いシャモジかハケのような器官を使って、空中へ勢いよく甘露オシッコを弾きとばす。カメラのフラッシュのマルチ発光機能を使って撮影。オシッコの粒の大きさは1ミリほど(体長:25mm  撮影地:プエルト・ビエホ・デ・サラピキ、コスタリカ 撮影者:Piotr Naskrecki、http://naskrecki.com/、下の写真も同)

そこで、ぼくたちはビワハゴロモを見つけた。

「ケンジ、知ってるかい? ゴキブリがこいつらの体についた白いワックスをかじりにくるんだよ」

「ふーん。ビワハゴロモの後ろに蛾(が)がおるのは、なんで?」

「それは単なる偶然さ」

ぼくはなんか面白いことが起こっているのではと感じ、じっとその現場を見つめた。

「ピーター、やっぱり蛾は何かやってるで~」

そう。その蛾はビワハゴロモが排せつする甘露オシッコを飲んでいたのである。ストローのような口をのばし、宙を飛ぶオシッコの粒をキャッチしたり、触角でビワハゴロモの翅(はね)をちょんちょんと軽くたたき、オシッコをねだったりしていた。

あとでわかったのだが、このオシッコが好きなのは蛾だけではなった。アリやカタツムリまで集まってきて、ビワハゴロモの“おこぼれ”にあずかるのだった。ビワハゴロモにとっては、背後に誰かがいてくれることによって、より安全ということだろう。

未知なる昆虫たちの世界が限りなく広がる熱帯のジャングルでは、こんな世界初の発見はそれほど珍しくはない。

ビワハゴロモとカタツムリとアリ/Enchophora sanguinea, Euglandina aurantiaca, and Paraponera clavata カタツムリもアリも、ビワハゴロモのオシッコが目当て。偶然そこにいるわけではない。カタツムリが甘いオシッコを体でキャッチ。そして大きなネッタイオオアリ(弾丸アリ)はカタツムリについた甘いオシッコをちょうだいする(それぞれの体長:ビワハゴロモ=25mm、カタツムリ=30mm、アリ=22mm 撮影地:プエルト・ビエホ・デ・サラピキ、コスタリカ)

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