へ~、脳幹が行うメンテナンスには、暖機運転まで入っているのか。大脳って大切にされているんだなぁ。
赤ちゃんのレム睡眠は脳を育てている
「ところで、赤ちゃんの眠りは、大人よりずっとレム睡眠が多いのですよ」。井上さんはふと、こんな話を始めた。ほー、それはどういうことだろう。
大人の睡眠では、レム睡眠の割合は20~25%。だが新生児では睡眠時間の約半分がレム睡眠、胎児期までさかのぼると100%レム睡眠になるという。「このレム睡眠は、脳の神経回路を作っているのです」と井上さん。神経回路は、活動するほどつながりが強くなる。そこで胎児や新生児の頭の中では、神経をしっかり“敷設”するために脳幹が活発に活動する。これがレム睡眠の始まり。よく「寝る子は育つ」というけれど、レム睡眠は文字通り、赤ちゃんの脳を育てているのだ。
そして脳(特に大脳)が発達すると、「覚醒」という状態が生じる。すると今度は、覚醒によるオーバーヒートを修復するためにノンレム睡眠が増える──と、こんなふうにして、脳の成長とともに睡眠の中身も変化していくのだ。
なるほどね~、睡眠は生涯にわたって私たちを守っているのか。大切にしましょう。
北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。
[日経ヘルス2013年5月号の記事を基に再構成]