海外に広がるJ-POP、ブームは定着するか日経エンタテインメント!

アーティストの海外進出が加速した背景

日本人アーティストを受け入れる側の体制もできつつある。SMAで国際案件を担当するINTERMIX部門の山口三平部長によれば、「例えばヨーロッパでは、フランスのKAZEやドイツのNEO TOKYOなど、もともとアニメのDVDやグッズを販売していた会社が、近年ではJ-POPアーティストの海外ツアーのサポートなども始めている」と言う。日本語スタッフを常時抱える会社も増えているそうだ。

BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)など、経済発展がめざましい新興国からのオファーが増えたのも追い風。アジアならば韓国や台湾、香港だけでなく、最近はタイやベトナムなどからも出演依頼が来る。「日本の音楽は、中東以外の地域ではほぼ受け入れられているのではないか」(山口氏)。

しかし、この勢いが今後も続くのかという問いには、不安の声もあがる。「もう一度、海外での売り出し方を検証する時期」と言うのは、the GazettEなどのビジュアル系バンドを手がけるPS COMPANY制作部の隅田和男部長。同社でも、昨年は若手のSuGが台湾、シンガーポール、タイに行くなど、海外でライブを行った。だが、隅田氏は「呼ばれたら、もろ手を挙げて行くのではなく、採算性などを考えて断ることもある」と話す。 これは、「日本人アーティストというだけで観客が集まる時代ではなくなりつつある」(隅田氏)と見るため。確かに、海外からのオファーは急増した。しかし、イベントやライブの数が増えたことで、逆に希少性は薄れている。ツアーを組んだが実はあまり観客が入らなかったり、呼んだプロモーターが倒産したりしたなどの話も最近はよく耳にするという。

K-POPがライバルに

しかも、東方神起やKARAが日本の音楽チャートでも上位を独占したように、ここ2~3年で、「K-POP」が存在感を増している。人口約4000万人と日本の3分の1である韓国では、最初から海外を視野に入れて才能を育成、業種の壁を越えて“一枚岩”で他国へ臨んできた。

例えば、新興国に進出する際には韓国企業がスポンサーとなって放送枠を買い、その枠に韓国ドラマを放映して、俳優と主題歌を歌う歌手をセットで売り込む。そして、スポンサーは現地で人気の出た韓国人俳優と歌手を、自社CMにも使うという組織戦を展開している。また、英語圏に出て行くために、現地に住んでデビューまでに何年もかけることもある。こうして日本の先を行き、アジアのみならず欧米への戦略も進めているという。

一方、日本は各事務所やアーティストがそれぞれ単独で、海外への売り込みを図っているような状況だ。そこで、危機感を持ち始めた日本の音楽関係者は、業界全体が一体となって「J-POPブランド」を売り出していこうと新たな試みを始めている。

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