日本橋、謎を呼ぶ「MN」問題 「Niho“m”」か「Niho“n”」か東京ふしぎ探検隊(14)

ヘボン式にもいろいろある

歩道の案内板は「n」で表記されていた

街を歩いてみて分かったが、ローマ字の表記は乱立しているのが現状だ。大まかには「ヘボン式」「日本式」「訓令式」の3つに分けられるものの、国土地理院のように独自ルールを設けるところも多い。ヘボン式の中にも多くの書式があり、統一されていない。

千葉大学教育学部の伊坂淳一教授によると、初期のヘボン式では「ん」はすべて「n」だったという。例えば新橋駅はかつては「Shinbashi」と書かれていた。鉄道博物館(さいたま市)に残る看板がそれを証明している。ヘボン式を推進する団体が1957年にまとめた文書でも、新橋は「Shinbashi」、神保は「Jinbo」と書いている。

JR東日本では「新橋駅のローマ字表記がいつ変わったかはわからない」とするが、1947年(昭和22年)の運輸省通達では駅名は「改修ヘボン式」によること、と規定。別表で「b・p・mの前はm、その他はnを用いること」としており、このあたりから同じヘボン式でも「n」と「m」とが混在するようになったのかもしれない。ただ、どういう経緯で「改修ヘボン式」などが「m」を使い始めたのかはわからなかった。

ゆりかもめ新橋駅前にある案内地図。新橋の住所が「n」になっている

一方で道路標識は「国道では『道路標識設置基準』に基づきヘボン式を使っています」(国土交通省東京国道事務所)というが、「ん」については「n」を使う。鉄道などで使っている「改修ヘボン式」とは違うようだ。都道を管理する東京都にも聞いてみたが、「うちもヘボン式なので『n』ですよ」(道路管理部)とのこと。

国語研究所の担当者は「ヘボン式は常に修正を加えられてきたので、これが正しいヘボン式、というのがないんです。鉄道も道路も、それぞれがヘボン式をアレンジして使っている、というのが実態のようです」と話す。

エンタメ!連載記事一覧
注目記事
次のページ
学校では訓令式、「新聞」は「SINBUN」?
エンタメ!連載記事一覧