食事をよく噛むと唾液が出てきて、口の中がすごい勢いで撹拌される。よどんでいた嫌気性菌のすみかにも、フレッシュな酸素と抗菌作用を持つ唾液が送り込まれる。すると嫌気性菌の増殖が抑えられ、口臭も出にくくなるわけだ。「日中は食べたりしゃべったりして唾液がよく出るので、嫌気性菌がおとなしい。夜間は唾液があまり出ないので、嫌気性菌が増えます。だから、朝の起き抜けは口臭が強いのです」

ストレスなどが原因で唾液が慢性的に減ってしまう「ドライマウス」でも、口臭は典型的な症状の一つ。お口のにおいが気になる人は、「唾液をしっかり出す」ことが大事なのだ。

マスクがにおうのは口臭のせいではありません

だけど、ちょっと待って。マスクやハンカチなど、唾液が染みたものってけっこうにおいますよ。唾液がにおいを抑えるというけれど、矛盾していませんか?「ああ、あれは、マスクの上で菌が繁殖したのです。唾液は無臭です」

唾液は、お口の健康を保つのに不可欠な存在。大切なのです。しかもにおいません。

北村昌陽(きたむら・まさひ)
生命科学ジャーナリスト。医療専門誌や健康情報誌の編集部に計17年在籍したのち独立。主に生命科学と医療・健康に関わる分野で取材・執筆活動を続けている。著書『カラダの声をきく健康学』(岩波書店)。最新刊は『スゴイカラダ~あなたの健康を保つ驚くべきしくみ』(日経BP社)。

[『スゴイカラダ~あなたの健康を保つ驚くべきしくみ』の記事を基に再構成]

スゴイカラダ~あなたの健康を保つ驚くべきしくみ

著者:北村昌陽
出版:日経BP社
価格:1,512円(税込み)

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