日常生活の中で、唾液量に大きな影響を与えるのが、食事。もう少し正確にいうと「よく噛むこと」だ。「食べ物をしっかり噛むのが、唾液を出す要件。食事をちゃんとしていなかったり、ろくに噛まずにのみ込んでいると、分泌量が減ります」

するとどうなるか?

唾液には、(1)歯の再石灰化を促す、(2)消化酵素で食べ物を消化する、(3)抗菌作用で菌の繁殖を抑える─という三つの大きな機能がある。唾液量が減れば、これらの作用が弱まってしまうことになる。

この中で、自覚症状として気づきやすいのが(3)。「口の中にすみつく細菌、特に嫌気性菌と呼ばれる菌は、口臭の原因成分を作っています。この菌が増えるとにおいが強くなるのです」

え? 唾液が口臭と関係している?

嫌気性とは、「酸素が嫌い」という意味。私たち人間は酸素を使って生きているので、酸素=生命の基本と思いがちだけれど、細菌の世界には、酸素が苦手な菌も多い。そういう菌たちは、歯と歯ぐきのすき間の奥底のような、よどんで酸素がほとんど届かない所にすんでいる。

口臭予防の基本は「噛む」こと。唾液を出せば、においが減る
[上]嫌気性菌のすみかは、歯と歯ぐきのすき間や、堆積した舌苔(ぜったい)の奥。プラークと呼ばれる粘着性の膜の中で酸素を避けている。よく噛むと口の中が撹拌されて酸素が行き渡り、菌の力が弱まる [下]柔らかいスナックや加工食品ばかり食べていると、あまり噛まずに飲み込んでしまうので、唾液の分泌が刺激されない。嫌気性菌が元気に増えて、口臭が強くなりやすい
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マスクがにおうのは口臭のせいではありません
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