年間2000億円を回収 督促女子に学ぶ「逆ギレ」させず催促するコツ

受話器の向こうで逆ギレする可能性のある客を相手に、支払い延滞金の回収。回収した金額は年間2000億円――。怒りのシャワーを浴びながら、自分の心を守り、成果を出して来た信販会社コールセンターの女性社員に相手を逆ギレさせることなく催促する方法を教えてもらいました。

「おまえ、殺すぞ!」。就職氷河期に、新卒で信販会社に入社した榎本まみさんは、支払い延滞顧客に督促を行うコールセンターに配属された。初めて取った受話器からは客の怒鳴り声が。驚いて凍りついた。「人に意見できない気弱な私が、なぜこの部署に配属されたのか」。苦悩の日々が始まった。

先輩が作成したマニュアルに沿って督促を始めたが、逆ギレされるなど会話が成立しない。1時間に60件の電話をかけるのがノルマだが、到底届かず…。ストレスから肌荒れや微熱が続き、1年後には、同期がどんどん離職した。

悪いのはお金がないことだ

「目が死んでるよ」。そう友達に言われ、危機感を覚えた榎本さんは、ストレスマネジメントや成果を上げる方法などを、本やセミナーで学び、徹底的に研究するようになった。すると、怒る客の傾向と対策が見えてきた。お金がなくて一方的に怒鳴るタイプは、とにかく怒鳴らせてスッキリさせる。その際は、「申し訳ございません」や「ご迷惑をおかけしました」などの謝罪の言葉を何通りも用意し、理不尽な怒りでも、相手の気持ちを汲みながら謝った。次第に客の怒りは収まり、落ち着いて話し始める。説得するまでに3時間もかけたこともある。「余裕がなければ人は優しくなれない。悪いのはお客様でなく、お金がないことだと思えるようになると、怒りに耳を傾けられる」と榎本さんは話す。

お金があるのに支払わず、逆ギレするタイプは、「分割払いで買った20万円のバッグが安物にしか見えない」など、納得できないお金の使い方をした人が多いという。怒りの矛先をバッグを買った店などに変えると、支払ってくれた。

理詰めで言い訳をしてくるタイプは、「期日を延長してほしい」などの要望が必ずあるという。そこを宝探しのような気持ちで探し始めると、罵声に凹まなくなる。このように自分の心を守りながら、成果に結びつけていった。 

「気弱だった私が辞めずにここまでこれたのは、怒られて辞めるような仕事があるのは理不尽だと思ったから。いつか心が病んで働けなくなるという恐怖心がある一方で、回収したいという欲求もあった。でも、一番の理由は気弱なので、辞めたいと会社に言えなかったことかもしれません(笑)」

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