本屋大賞受賞、著者・和田竜が語る「村上海賊の娘」日経エンタテインメント!

『のぼうの城』で一躍その名を知らしめた歴史小説の旗手、和田竜。4年ぶりとなる新作『村上海賊の娘』は、上下巻で1000ページ近い超大作だ。同書は、2014年3月に吉川英治文学新人賞を受賞。そして今回、4月8日に発表された、日本全国の書店員が選ぶ「本屋大賞2014」の大賞に輝いた。その注目作について、著者自らが語った。

時は戦国。主人公は、数百年にわたり瀬戸内海の覇を握った村上海賊の姫・景(きょう)。海賊働きに精を出す景は、長身と怪力に加え、欧米人のような容貌から醜女と扱われていた。そんな景が、自分のような女を好む男たちが大坂の南・和泉国にいると聞きつけ船を出す。

男たちのドラマも同時並行する。織田信長が西に勢力を伸ばし、大坂本願寺との戦いは7年目を迎えていた。窮地の本願寺から援助を請われた毛利家、毛利家から海路を通じて本願寺への兵糧搬入を乞われた村上海賊、信長につく泉州侍たち――。各人の思惑が絡み、毛利方と織田方による大阪湾の河口での戦い(木津川合戦)へと向かっていく。

「何よりも先に、海賊船の先頭に立つ女性の絵が描きたかった」

広島県で少年時代を過ごした和田にとって、瀬戸内海の島々を拠点に活躍した村上海賊の存在は、親しみがあった。身近に末裔(まつえい)がいた。「学年の3、4人は“村上さん”だった」そうだ。

「村上海賊の最盛期を作った武将・村上武吉(たけよし)の家系図を調べました。武吉の血を分けた娘なら、荒くれ者たちに立ち向かって戦うイメージが湧いたから。大半が養女のなか、1人だけ実娘がいた。実在するその女性に、粗暴だったり、性的に奔放だったとか、記録のある戦国の女性像を集めながら、景を作っていきました」

和田竜(わだ・りょう)。1969年、大阪生まれ、広島育ち。2003年、繊維業界紙の記者である傍ら書いた脚本『忍ぶの城』で城戸賞を受賞。これを小説化した『のぼうの城』で2008年に直木賞候補となる。同作は2012年に映画化され200万部超のヒットに。著書に『小太郎の左腕』など(写真:鈴木芳果)
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