2013/10/25

離婚率の高まりも就業率アップにつながった

2つ目の理由は、離婚率が高まったことにあります。

たとえ妻が働かずに夫の給料だけで充分生活できていたとしても、一旦夫が失業したり離婚をすると、ただちに生活に困ることになります。近年スウェーデンでは、離婚率が急上昇したのを機に、女性が経済的に自立していることの必要性が高まりました。

働くことで自己実現のニーズが満たされる

そして、3つ目の理由は、働くということによって、社会に参画したい、創造したい、自由を得たいといった基本的な人間のニーズが、相乗効果で満たされやすいことがあります。自己実現という表現があるように、自分の可能性を試してみたいというニーズが、働くことで満たされやすいのだと思います。

これらの3つの要素が、スウェーデンの女性がいろいろな困難があったにもかかわらず働き続けた理由になると思います。その代わり、働いている間子どもを安心して預けられるように、質の高い保育を社会に要求し、実現してきました。

日本では、スウェーデンと比較すると専業主婦に社会的な地位、役割、やりがいがあるのでひとつの選択肢になっているのだと思います。それでも、2つ目、3つ目の要素は、日本でもこれから増えていくはずです。だからこそ、日本の保育の問題を個人だけの問題としないで、社会全体の問題として考えていく必要があると思います。

スウェーデン女性は、保育、医療、福祉、教育分野で働く人が多い

では、スウェーデン女性はどのような仕事に就いているのでしょうか。

一番多い女性の職種は、保育と医療、福祉、教育の分野です。かつて、女性が家庭でしていたことの延長線の仕事を選んだといえます。つまり、女性が働くようになると保育士や高齢者福祉センターで介護士の仕事が必要になったので、まずそれらの職種についたのです。

そのほか、看護師、教師という仕事も女性が独占的です。また、自治体に保育、教育、高齢者福祉の管轄の責任があるので、その関連の自治体での事務や専門職にも女性が多く働いています。また、レストランやホテルなどのサービス業も女性が多いです。スウェーデン女性が自己実現しているといっても、大企業で華やかな職種についている人や、芸術家が多いわけでは決してありません。

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フルタイムは6割、3割がパートタイムで勤務