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東京ふしぎ探検隊

2013/12/13

東京ふしぎ探検隊

ダイヤ作成の難問 各社の走行距離を同じに

ダイヤ作成にはもう一つの難題がある。乗り入れている各社の走行距離を同じにする必要があるのだ。

「メトロ管内で他社の車両を走らせると、その距離に応じてメトロがその会社に車両使用料を払うことになっています」(東京メトロ運転部輸送課の宮英幸さん)

例えば千代田線の場合、小田急とJR東に使用料を払う一方で、両社からもメトロ車両の走行分を受け取る。それぞれの距離が同じになるようにダイヤを組めば、精算は最小限で済む。どうしても均衡がとれない場合は、他社車両を自社路線だけで往復させて距離を稼ぐ。メトロでは、小田急の車両を千代田線内で往復させているという。

なぜこんな複雑な運用をするのか。単純に金銭で精算するわけにはいかないのか。メトロに聞くと、「不均衡を放置すると、特定の会社が毎年億単位の使用料を払い続けることになる。財務上の大きな負担は避けたい」とのことだった。

最近では新しい手法も登場している。車両使用料を2社間で均衡させるのではなく、「自社と他社」という観点で均衡させる手法だ。

例えばメトロと東急、東武の3社で直通する場合。メトロは「東急+東武」との間で均衡するようダイヤを組む。東急は「メトロ+東武」、東武は「メトロ+東急」と均衡するよう組めば、結果的に3社はそれぞれ同じ距離になる、というわけだ。もちろん、3社間での調整は欠かせない。

直通運転、それでも事業者に大きなメリット

直通運転は、現場にも大きな負担となる。特に影響が大きいのが運転士だ。

副都心線と東横線の直通前、メトロと東急は運転士の研修を行った。終電が出てから始発までの間に、メトロは東急、東急はメトロの車両を借りて実際に運転したという。「車両によっては計器類の位置が微妙に違うので、慣れるまで時間がかかります」(運転課の日浦さん)

メトロは運転士が1人で車両を担当するが、東急では運転士と車掌の2人。引き継ぎをスムーズに行う練習も行った。車両を引き継ぐときに最も気をつけるのは、行き先の設定だという。限られた停車時間で正確に設定するため、練習を繰り返した。

東横線渋谷駅跡地。直通運転開始で用地が空き、再開発が可能となった

複雑化する直通運転。それでも行うのはなぜか。富井教授は「利用者にとっての利便性向上に加え、事業者にもメリットが大きい」と指摘する。

「2つの駅を1つにまとめることで、用地が浮く。渋谷駅の例が典型的です。乗り換えがなくなることでターミナル駅の混雑が緩和する。折り返しを待つ時間を短縮でき、車両運用にも余裕が出ます」

直通拡大に動く鉄道各社。一方で直通開始は不満の矛先にもなりやすい。乗客の利便性を高めつつ、遅延の連鎖を防ぐ。難題を前に担当者は日々、知恵を絞っている。(河尻定)


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