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いざスリランカ、パイナップルの国の美味な洋菓子

世界のおやつ探検隊

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NIKKEI STYLE

 時計の針を3カ月ほど巻き戻したある日のこと。ナショジオが結成した「世界のおやつ探検隊」のユカリ隊員から突然連絡が入った。「スリランカに飛びませんか」。なんでも、急きょ現地の主要観光地を巡るプレスツアーに参加できることになったらしい。もちろん、現地でおやつハントができる貴重な機会を逃す手はありません。いざ、スリランカ!

まずはスリランカ航空の機内食を吟味

さて、スリランカ現地取材は決めたものの、目標となる「獲物」を何に定めたらいいのかさっぱり見当がつかない。そこで、以前スリランカのデザート、黒砂糖プリンのワタラッパン(「スリランカのプリンは『お・も・て・な・し』のお菓子」を参照)を教えてもらったスリランカ出身の山崎シルヴァさんに連絡してみた。すると、意外なことに彼女が国に帰ると食べたくなるのは洋風のお菓子だという。特にパイナップルを使ったケーキが好きで、帰国時には必ず食べるのだとか。「あっまーいの。だけど酸味も効いていてとてもおいしいんですよ」とのこと。

スリランカは19世紀初頭から20世紀半ばまで、イギリスが植民地化した歴史がある。「だから、ケーキ屋やパン屋も充実しているのよ」とシルヴァさん。そして、有名なケーキ屋のひとつとして「ザ・ファブ」の名を挙げてくれた。

こうしてミッションを胸に乗り込んだのは、日本からスリランカへ唯一の直行便を運行しているスリランカ航空の飛行機。島国スリランカの南西海岸沿いに位置する都市コロンボまでのフライトは約10時間かかるが、長旅の楽しみといえば機内食だ。なじみのある欧米系の航空会社ではないだけに、どんなものが出てくるのだろうと思っていたら、最初に出てきたのはカシューナッツのような形のスナック菓子だった。

「そういえば、ワタラッパンもカシューナッツを使っていたな」と思いながら口にすると、これが少しピリ辛のサックリとしたスナック。一気に異国へ向かうのだという気分に(ちなみに後にこのスナックは、現地のポピュラーな袋菓子のひとつだと判明)。

一方、食事時にデザートとして出てきたのは、華やかなピンク色のムースケーキ。機内食によくある激甘デザートだろうと思いきや、甘くはあるものの少し酸味があり後味がさっぱりとしていておいしい。シルヴァさんの話を思い浮かべながら「酸味もスリランカの味のポイントかな」などと思っているうちに、夜のコロンボに到着した。

おやつハントの始まりはホテルの朝食から

現地でおやつハントが始まったのは到着の翌朝、宿泊ホテル、ラマダ・コロンボの朝食ビュッフェだ。レストランに入ると、ずらりと並んだパンやパウンドケーキが目に飛び込んできた。甘いパン・ケーキ類だけで7、8種類ある。街に繰り出す前からシルヴァさんの話を実感。全種をお皿に盛りながら、「スリランカらしい食べ物もないかな」と見回すと、「スイートパンケーキ」というタグが置かれた小さなロールケーキのようなものが目に入った。

ホテルの人に「これは何?」と聞くと、ヤシの花蜜であえたココナツフレークを卵を使った薄い小麦粉生地で包んだものだという。ほんのり黄色で卵の味がする生地はしっとりとなめらかな食感。シャクシャクとしたココナツフレークとの相性がいい。

もうひとつは「ポル・ロティ」と呼ばれるココナツを使った薄焼きパン(ポルはココナツの意味)。これを「サンボル」(あえるという意味)というフリカケのようなものと一緒に食べる。サンボルは、スリランカ人の「ご飯の友」といってもいい食べ物らしく、様々な種類のサンボルがビュッフェのテーブルに置かれていた。

この日並んでいたのは、「ポル・サンボル」、「カッタ・サンボル」と「シーニ・サンボル」。ポル・サンボルはココナツを使ったあえ物で、カッタはカツオ、シーニはタマネギを使ったものだ。いずれもトウガラシを混ぜ込んでいて、カッタ・サンボルはかなり辛い。スリランカではポル・ロティはポピュラーな食べ物なんだよと教えてくれたホテルのスタッフに「どのサンボルが好き?」と聞くと、迷わずカッタ・サンボルを指した。

ちなみにサンボルは、朝食やスナックとして人気のスリランカ食「ホッパー」のお供にもなる。おわんの形をしたホッパーは、米粉を使った生地がパリッとしたクレープのような食べ物。滞在中、2度食べる機会があったが、生地は塩味だったりほんのりと甘かったり。「エッグ・ホッパー」といって中に卵を落としたものもあった。専門屋台もあちこちにあり、スーパーでは専用調理器具も発見。思わず買いそうになりました。

朝食ビュッフェでは、片隅にさらにパッションフルーツ、スイカなどのフルーツジュースが並んでいた。果汁100%なのだろう。誇らしげに「無加糖」と書いてある。フルーツ自慢の南国ならではだ。脇にはシロップも置いてあったが、ストレートでパッションフルーツをトライ。酸味の効いたジュースで、爽快な1日のスタートとなった。

ヒリヒリする辛さ強烈な「ショウガクッキー」

この日、ツアーが向かったのはコロンボの北東70キロほどにある「ピンナワラ ゾウの孤児院」と呼ばれるゾウの保護施設。群れとはぐれた子ゾウなどを保護し育てているそうで、現在80頭以上のゾウがいるという。黙々と餌を食べている群れを見ていると「あれは、ジャックフルーツの葉なんですよ」と日本への留学経験があるツアーガイドのサーランガさんが教えてくれる。「ほかにも、『フィッシュテイルパーム』という木の、樹皮の下の軟らかい部分も食べるんです」。フィッシュテイルパームとは、日本語でクジャクヤシと呼ばれるヤシの木の一種だ。

ジャックフルーツはスリランカの国果といわれる果物で、緑色のフットボール型の実の中には薄い黄色の房がぎっしり詰まっている。細く切ってサラダの材料としても使われるらしい。一方、フィッシュテイルパームは、朝食のパンケーキに使われていたヤシの花蜜を生み出す樹木だ。人間が大好きな食材とゾウの好物が交差する、スリランカならではの食の風景だ。

見学が終わり昼食に向かった先では、日本人観光客が多いルートなのか、なんとお好み焼きや巻きずしなどの和食がふるまわれた。びっくりしながら「スリランカのおやつもないかな」と見回していると、ドリンクメニューに「ジンジャービール」という聞き慣れない飲み物を発見。「ビールという名前が付いているけれど、アルコールではなくジュースなんです。子どもたちにも人気の飲み物ですよ」とサーランガさん。早速頼んでみると、席に運ばれてきた瓶は細身で中に薄茶の液体が入っている。最初はただ甘~いジンジャーエールだと思ったが、じわじわと口に広がってきたのはものすごいショウガ味。

実は日本でシルヴァさんに「スーパーで買えるお菓子のお薦めは」と聞いたところ、いち押しがショウガクッキーだった。後で現地のスーパーで見つけて買ってみるとこれも欧米のショウガクッキーとは異なり、ワイルドなショウガ味。食べごたえのある硬めのクッキーで、1枚食べただけで口の中が辛さでヒリヒリとするほどのインパクト。シンプルなのに強烈な印象のおやつ発見です。

レストランを後にするときにふと壁の黒板を見ると、「シナモンとパイナップルのアイスクリーム」という文字が目に入った。日本ではあまり見ない組み合わせだが、シルヴァさんお気に入りのお菓子にも使われているように、パイナップルはスリランカで人気の高いフルーツ。道中でも、ロードサイドにパイナップルだけを売っている露店を何軒も見かけた。一方、シナモンはスリランカが原産国のひとつであるスパイスだ。この国では、ごく当たり前の組み合わせなんだろう。

さて、再びコロンボに戻ってくるともう日が落ちていた。ツアーが向かったのは、「パダライズ・ロード ザ・ギャラリー・カフェ」。20世紀に活躍したスリランカ人建築家ジェフリー・バワの元事務所を改装したカフェだ。スタイリッシュな店内に入ると、飛び切りモダンなデザインのケーキが並んでいた。その中で素朴な雰囲気のケーキがあるなと商品名の表示に目をやると「キャロットケーキ」の文字が。そう、イギリスの大定番ケーキだ。かつての宗主国、イギリスの影響があるのだろう。

お目当てのケーキ屋「ザ・ファブ」を発見

こうして、その日の予定を終えホテルに帰る途中、闇夜にあるお店の緑色のネオンが浮かびあがった。「ザ・ファブ」だ。「『ザ・ファブ』なら、いろんな所にあるからそのうち通りがかりますよ」とサーランガさんが言っていたが、本当にばったり出くわすとは……。後で調べるとネットでも販売していて、さしずめスリランカ版の不二家といったところ。

出くわしたのは全面ガラス張りの想像以上に大きな店舗で、夜7時近くだったが、店はお菓子を買ったりお茶をしたりする老若男女であふれている。「僕が小さいときから、ポピュラーなケーキ屋さんでしたね」と30歳になったばかりのサーランガさんは話す。

店に入ると、ガラスケースの中に何十種ものケーキが並んでいる。パイナップルを使ったものはないかとショーケースに張りつくように見ていたら、ありました、大きなパイナップルスライスを載せたおいしそうなタルトが。さらに人気があるらしいデーツ(ナツメヤシ)のケーキに「カル・ドドル」や「キリ・アルワ」(キリはミルクの意味。キリ・トフィー、ミルク・トフィーとも呼ばれる)というスリランカスイーツを買い込みホテルに戻った。

「ゾウの孤児院」周辺の露店でも見かけたカル・ドドルは米粉やココナツ、ミルク、ヤシの花蜜から作った砂糖を使ったようかんのような甘いお菓子。少しざらっとした食感が舌に残る。カシューナッツがトッピングされ、どことなくスパイシーで濃厚な味わい。キリ・アルワはミルク味の、ざらりとした食感の素朴なキャラメルだった。一方、デーツケーキは生地にデーツやアーモンドを練り込み、大きな乾燥デーツをトッピングしたケーキ。甘いけれど、食後は思いの外、口の中がさっぱりする。

そして、最後にフォークを入れたのは、お待ちかねパイナップルを使ったタルトだ。これは、タルト生地の上に薄くチョコレートの層を作り、その上に生クリームをたっぷり盛って、さらにパイナップルのスライスとイチゴをトッピングしたものだった。甘さたっぷりのお菓子だけれど、フルーツの酸味も効いている。何よりもパイナップルの味わいがフレッシュ。道中に見たパイナップル露店を思い出しながら、「あのパイナップルも買ってみればよかった」と少し後悔。

「明日はどんなおやつと出会えるのだろう」――。こうして、甘いお菓子を口いっぱいに頬張りながらコロンボの夜は更けていったのでした。

[Webナショジオ 2014年1月31日付けの記事を基に再構成]

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