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3つ星スイーツ

2014/1/9

3つ星スイーツ

●ちなみに――南蛮渡来、元になった菓子は一つではなかった

16世紀にヨーロッパの宣教師たちによって日本にもたらされたという歴史が有名なカステラ。だが、その源流をさらに遡ると、現在のような形に仕上がっていくまでの深い歴史と、不思議な偶然が見つかる。「たべもの起源事典」(東京堂出版)によると、カステラの源流とされているお菓子は一つではなく、ヨーロッパ・イベリア半島に位置する、スペインとポルトガルそれぞれにあるという。

日本に渡来した後、その名称が「カステラ」に落ち着いた理由も有力な2説が存在する。一般によく知られている説は、スペインの「カスティーリャ王国」からとられたというものかもしれない。ただ、ポルトガル語の「城」を意味する言葉に起源を求める説も古くから伝わる。この説では、「城=耐久性のあるもの」ということから「日持ちのするパン」がカステラの語源だともいわれる。

ともあれ、大航海時代をリードしたヨーロッパの2つの国で生まれたお菓子は、当時「黄金の国」と信じられた日本へ、長く険しい大航海の末、安土桃山時代に伝来したといわれている。その後、江戸時代になると、日本の職人たちによる製造も始まったらしい。砂糖と卵の配合が多いカステラの製法は日本の菓子づくりでは、それまでにほとんどなかったものだとみられ、多くの職人が苦闘を重ねながら、現在のような形へと仕上げていった。

危険な航海をいとわなかった、ヨーロッパの宣教師や航海者と、見慣れぬ海外の新しい菓子も貪欲に自らの食文化へ取り入れていった日本の職人たち、その巡り合いのタイミングが少しでもずれていれば、もしかすると、カステラは現在の姿とは大きく異なるものだったかもしれない。久々に会う親族や友人らとカステラをいただきながら、そんな出会いの妙を語り合ってみるのも、楽しいかもしれない。(堀大介)

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●専門委員の横顔(五十音順)

下井美奈子さん

1973年生まれ。実家の母が菓子教室講師ということから、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子作りを行う。一般企業を退職した後、パリの料理学校「リッツ・エスコフィエ」で料理・製菓の資格取得。またパリの製菓料理学校「ル・コルドン・ブルー」「ルノートル」で学び、2年間のロサンゼルス在住中にも各国の製菓・料理を習得。情報サイト「オールアバウト」では立ち上げの2001年から、スイーツガイドを担当。多数のメディアで洋菓子情報を紹介するほか、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーターも務める。共著に「TOKYO美食パラダイス」など。

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心とした菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べる菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。