歴史にいざなうミュージカル
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重厚な作品、上位に並ぶ
「好き」「嫌い」の前に残念ながら「見たことがない」という人が多い娯楽のひとつが、ミュージカルではないだろうか。食わず嫌いで損している人に、初心者にも親しみやすく、また、昨今の歴史ブームに違った角度で迫れそうな作品を専門家に挙げてもらった。
数あるミュージカルの中から、歴史を学んだり、歴史的な背景に思いをはせたりする一助になりそうな作品を選ぶと、革命や戦争など時代の激動期や滅びゆく王家などを題材にしたものが多く、大河ドラマのような重厚な作品が上位に並んだ(5位は現在公演中)。
「ミュージカル」に明確な定義はないが、17世紀にオペラの合間に演じられていた喜劇中心の音楽劇がオペレッタとして独立したものが始まりとされる。当初はショーや喜劇性が強く、一夜限りの娯楽と目される作品が多かったが、1927年に人種問題を盛り込んだ作品「ショー・ボート」が米国で生まれ、現代ミュージカルの幕が上がった。
以降、「キャバレー」(3位)や「屋根の上のヴァイオリン弾き」(8位)のような悲劇や社会問題を扱ったヒット作が次々に誕生。最近ではエイズ問題を扱った「レント」のほか、「ライオンキング」などディズニー作品が大ヒットした。
日本も海外作品の上演が多い。だが、劇団四季の「李香蘭」が70万人以上を動員、中国公演を果たすなど独自作品への取り組みも盛んになってきている。
ミュージカルとうたってはいないが、萩尾瞳さんは、5月から上演する「夢の泪(なみだ)」など井上ひさし氏の「東京裁判3部作」を推した。「時代を学ぶことを念頭に置いた」作品としては最適という。
ミュージカルは上演日程が限られるうえ、数カ月前からチケットを予約しなくてはならない。ただ、DVDや映画版、CDなどが出ている作品は多い。この休みに"予習"してみてはいかがだろう。
調査の方法 歴史を学んだり理解を深めたりするのに役立つと思う作品を専門家に選んでもらった。別途、歴史を理解する一助になるか、娯楽性が高いか、わかりやすいかの点数もつけてもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。
有吉玉青(作家、大阪芸術大学教授)▽川上博(ミュージカル評論家)▽小藤田千栄子(映画・演劇評論家)▽瀬川昌久(「月刊ミュージカル」編集長)▽扇田昭彦(演劇評論家)▽中島裕昭(東京学芸大学教授)▽萩尾瞳(映画・演劇評論家)▽御木平輔(ミュージカル・ウオッチャー)▽茂木崇(東京工芸大学専任講師)▽山田和也(演出家・東宝演劇部所属)
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