「パワハラ」のレッテル怖い 怒れない上司の憂鬱

レッド行為とイエロー行為

オリックスは08年に独自にパワハラ基準をつくり、徹底している。特徴は1回でも許されないレッド行為と、繰り返してはいけないイエロー行為に分けていること。暴力はレッドだが、部下の問題行動に感情が高ぶり「コラッ、ばかやろう」と怒鳴るのはイエローだ。「言い過ぎた」とその後に伝え、くり返さなければパワハラとは断定しない。

「辞めてしまえ」「給料分は働け」。昔は上司に怒鳴られて成長した、と嘆く年配社員もいる。かつては終身雇用と年功序列が保障され、昇進昇給など明るい夢を見られたので厳しい指導にも耐えられた。でも今の企業は違う。指導の仕方も変えざるを得ない。

クオレ・シー・キューブの岡田社長は「ただ若い世代もストレス耐性が低くなり、過剰反応する傾向がある」と指摘する。指示や指導が納得できなかったり厳しすぎると感じたりしたら、上司に直接真意を確認すればよいのに、それを避け、人事部など第三者に解決を委ねようとする。岡田さんは「働きやすい環境をつくるには上司と部下相互の歩み寄りが大切」と強調する。(編集委員 石塚由紀夫)

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パワハラの訴えは軽視できない。厚生労働省によると、各地の労働局などに寄せられた2011年度の労働相談のうち、パワハラなど職場のいじめ・嫌がらせに関するものは4万6千件と前年度比16%増加した。勤務先に労働局長が助言・指導したり紛争調整委員会があっせんしたりしたケースも2600件と、同27%増だ。

企業のメンタルヘルス事業を手掛けるピースマインド・イープ(東京都中央区)の荻原国啓社長は「経営状況が厳しくなり、結果が出ない社員や非正規社員が標的になっている」とみる。

だれもが加害者になるリスクはある。防ぐには(1)しかるときも、良い点を褒めることを忘れない(2)「やってしまった」と思ったら、その後の対処を怠らない(3)日ごろの意思疎通を欠かさず信頼関係を築いておく――などが大切だと荻原さんは助言する。

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