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職場の知恵

「やりがい」求めて 就職先はソーシャルビジネス

2013/6/19

大学や高校を卒業して就職先に「ソーシャルビジネス」を考える若者がいる。受け皿が多いとはいえず、ビジネスとしても安定しているとはいえないが、NPO法人だけでなく、社会事業に取り組む株式会社などに選択肢は広がっている。やりがいと生活の糧を得ることの両立をめざす若者を追った。

自治会も巻き込み不動産業兼まちづくり

赤星さん(中)は大学院から千葉県松戸市のまちづくり会社に飛び込んだ

東京駅から電車で30分。JR松戸駅の西口を出て少し歩くと、扉に緑色の字で「MAD City(マッドシティ)」と書かれた建物が見えてくる。松戸駅周辺に若手アーティストやクリエーターを呼び込み、自治会も巻き込んで街の活性化を目指す株式会社まちづクリエイティブ(千葉県松戸市)の拠点だ。

「次のイベントでは新しい作品を並べたいね」。街の住人らしい若者とスタッフが親しげに雑談を交わしていた。同社は古民家や老朽物件を一括で借りてクリエーター志望の若者らに貸したり、アトリエやイベントスペースを提供したり。自治会と連携した「松戸まちづくり会議」の事務局として通りを飲み屋にする「酔いどれ祭り」も企画する。いわば不動産業兼まちづくりの会社だ。

赤星友香さん(27)は東京生まれの横須賀育ち。いわゆる「田舎」がなかったためか地域のつながりやまちづくりに関心を持った。大学院では文化を生かしたまちづくりのあり方などを研究。インターン先だった地域コンサルタント会社社長に知り合いの寺井元一社長(35)を紹介され、2009年から松戸のまちづくりに関わってきた。

起業まではできないけれど…

「普通に就職というのはピンとこない。でも自分で事業を立ち上げるまではいかない。何かスキルが学べれば」と思っていた。実は寺井さんも松戸と地縁がなく、まちづくりのモデルケースにしたいと街で活動を始めたばかりだった。赤星さんは「最初は不安しかなかった。でも元からの住人と外からの若者の新しいつながりが生まれるのは面白いし、ここを自分の街だと思えるかも」と感じた。

まちづくり会社で働くと聞いて親も友人も驚いた。ただ赤星さんは「やりたいこととお金を得る仕事が別なのには違和感があった。同世代ではそういう人が多いと思う」と揺るがなかった。松戸の人たちは最初けげんそうだったが、若者のシェアハウスやアトリエ拠点が出来はじめて街の雰囲気が徐々に変わっていく。イベント企画や広報担当を引き受け、一杯飲みながら街の未来を話し合うなどして人脈も広がった。

インターン時代から赤星さんを知り、今は栃木県でまちづくり会社を手掛ける村瀬正尊さん(31)は「ソーシャルビジネスの世界で『こうなりたい』と思えるモデルとなるような存在が身近で増えている。私の大学時代に比べると隔世の感」と話す。赤星さんも「先輩方との出会いは大きかった」と振り返る。

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