「男性と女性とでは撮りたい写真がちがう。女性だけの教室は役に立つ」というのは、3回目の参加だという八木貴代子さん(39)。講師の鶴巻さんも、男性と女性では写真教室に参加する動機も異なるようだと話す。
料理・装飾品・ペット…撮りたい物決まっている
男性で写真教室に参加する人は「写真がうまくなりたい」「カメラについて詳しく知りたい」という人が多いが、「女性は撮影したいものがあり、それをきれいに撮りたいから教室に来る」(鶴巻さん)。料理や小物、ペットや子どもなど、自分が撮りたい写真が決まっている。最近ではきれいな写真をブログや交流サイト(SNS)に載せたいから、最新のミラーレス一眼カメラを買ったという人も少なくない。
女性たちが求めているのはスマートフォン(スマホ)やコンパクトデジタルカメラでは撮影できない、明るく、ぼけた写真。そんな写真を撮るためにはどうすればいいかを講義、撮影会、講評会で学ぶ。中には本体とセットになったレンズでは満足できず、明るいレンズを買い足す女性もいる。
昨年11月にミラーレスのデジタルカメラを買った平田佳子さん(37、仮名)は、今年に入って2本のレンズを買った。どちらも明るい写真が撮れるレンズで、うち1本は8万円。「ギフトカードなどを集めて買いました。価格の詳細は、夫には内緒です」と笑う。
ビックカメラ有楽町店カメラコーナーの檜山徹さんによれば女性には「接写ができるマクロレンズや単焦点のレンズが人気」だそうだ。20代は3万円程度のレンズを選ぶ人が多いが、30代後半になると10万円近いレンズを購入する人も増えるという。
檜山さんも「女性は目的がはっきりしている」と感じている。「何を撮りますか、と聞くと料理やアクセサリー、ペットなど明確な答えが返ってくるから薦めやすい」。ちなみに男性に同じ質問をすると「いろいろ撮るよ」という答えが返ってくることが多いそうだ。
手軽なミラーレス一眼カメラが人気を後押し
小型で気軽にスナップを撮りやすい最新のミラーレス一眼を買う女性も増えている。
調査会社GfK Japanによると、デジタルカメラ全体の2012年4~9月の販売数は、前期(11年10月~12年3月)に比べて6%減っているが、レンズ交換式カメラは同21%伸びている。中でもミラーレス一眼は同40%増。ミラーレス一眼がレンズ交換式カメラ市場をけん引していることがわかる。
本体内に鏡を内蔵しないミラーレス一眼が登場したのは2008年だが、現在のようなコンパクトなミラーレスが登場したのは2009年7月。このタイプを最初に投入したオリンパスによると、同社のミラーレス一眼「PEN」購入者の約4割が女性。有楽町店カメラコーナーの檜山徹さんも「ご夫婦やカップルを含めれば、ミラーレスの購入者の6割が女性」だという。
カメラのボディーカラーからも女性人気が見て取れる。「女性が好むホワイトなどの販売シェアが徐々に増えている」(GfK)。一眼レフカメラといえば「黒」のイメージが強いが、2010年には約8割あった黒の販売比率が2012年には7割を切り、代わりに10%にすぎなかった「白」は17%まで伸びた。