懐かしのふんわり感 スフレチーズケーキ

●ちなみに――スフレにはメレンゲが決め手

ふっくらと膨らんだ仕上がりが特徴のスフレチーズケーキ

スフレ、ベークド、レア――。同じチーズケーキといっても、作り方や材料によって特徴は大きく異なり、まるで違ったおいしさを楽しめる。ふわふわとしたスフレタイプは、一般的な作り方だと、湯せん焼きで蒸すように焼き上げることで独特の軽さを生み出している。材料に生クリームを加えたり、卵白を泡立てたメレンゲを加えたりすることによって、ふっくらと膨らんだ仕上がりになる。

もともとスフレとは「かたくたてた卵白を加えてオーブンで焼いた、軽くてやわらかいデザートおよび塩味の料理」(「フランス 食の事典」白水社)。フランス料理では、オマール海老のスフレやフォアグラのスフレなど、塩で味付けした一皿として供されることも多い。チーズスフレといった場合、日本のようなケーキではなく、ナツメグや塩、コショウで味付けした生地を円筒形の皿「ココット」に入れて焼き上げたワインによく合う1品だ。

デザートでは、オーブンでふっくらと焼き上げるクリームスフレや、軽い口溶けが特徴的なアイスクリームのスフレ・グラッセなどが有名。クリームスフレはチョコレートなどで風味を付けることも多い。日経スイーツ選定委員会の専門家らによると、日本のスフレチーズケーキは海外ではあまり見かけないタイプだという。

●記者のひと言

どこか懐かしいスフレチーズケーキ

「空気を食べているみたい」――。試食会でのある専門家のひと言に、スフレチーズケーキの特徴が端的に示されている。その中にも、しっとりとしたものからぷるぷるとしたものまで店ごとに違いがあり、食べ比べた10商品はそれぞれ個性的だった。

もう1つ試食会で印象に残ったのが、皆の口から何度も飛び出した「懐かしい」という言葉。ほかのスイーツに比べると、デコレーションが少なく見た目もシンプル。やわらかな食感とやさしい味は派手さがなく、素朴でどこか懐かしい。

そんな懐かしさに、記者はある菓子パンを思い出した。チーズ風味で蒸しケーキのような大手メーカーの菓子パンだ。正式な商品名ではないようだが「チーズ蒸しパン」と覚えており、中学生や高校生の時にコンビニでよく購入していた。100円で買えるおいしさにはまり、マンガ雑誌を買うついでや部活帰りの買い食いなどで、こればかり食べていた記憶がある。

もちろんパティシエの作る洗練されたスフレチーズケーキは最高だった。と同時に、少し甘ったるいチーズ蒸しパンも久しぶりに食べたくなった。(綱島雄太)

●「日経スイーツ選定委員会」とは

専門委員と日経記者で構成。専門委員は豊富な経験に基づいた通らしい視点で、記者はビジネスパーソンとしての素直な視点で評価。まず、専門委員の意見を参考に書類に基づく第1次審査を実施し、10商品を候補に選定。次に、厳選された10商品を実際に全員で食べ比べ、専門委員の意見を中心に合議制で「3つ星」「2つ星」「1つ星」を決める。

●専門委員の横顔(五十音順)

下井美奈子さん

1973年生まれ。実家の母が菓子教室講師ということから、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子作りを行う。一般企業を退職した後、パリの料理学校「リッツ・エスコフィエ」で料理・製菓の資格取得。またパリの製菓料理学校「ル・コルドン・ブルー」「ルノートル」で学び、2年間のロサンゼルス在住中にも各国の製菓・料理を習得。情報サイト「オールアバウト」では立ち上げの2001年から、スイーツガイドを担当。多数のメディアで洋菓子情報を紹介するほか、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーターも務める。共著に「TOKYO美食パラダイス」など。

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。お菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心としたお菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べるお菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。

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