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朝・夕刊の「W」

「逆境が私を育ててくれた」 脚本家・中園ミホ氏

2013/6/2

よく笑う。周りを明るくさせる。はっきりと物を言う。だけど物事を決めつけない。優れたドラマ脚本家に贈られる向田邦子賞を受賞したお祝いというコチョウラン以外は、デスクトップパソコンと机、小さなソファしかないシンプルな仕事場を訪ねた。

脚本家の中園ミホ氏=写真 湯沢華織

バブル期にテレビドラマの脚本家としてデビューした。玉の輿(こし)に乗るために合コンを繰り返す客室乗務員を松嶋菜々子が演じた「やまとなでしこ」(2000年)。高いスキルでノルマを淡々とこなすスーパー派遣社員を篠原涼子が演じた「ハケンの品格」(07年)。時代と共に移り変わる女性の生き方と本音を描いてきた。

「(松嶋菜々子が演じた『やまとなでしこ』主人公の神野)桜子はもういない。玉の輿なんて危なくてしかたない。いつ没落するかわからないし、絶対に浮気される(笑)。正社員ですら絶対安定ではない。いつクビになることやら。信じられるのは自分だけ」。今の働く女性像をどのように見るかを問うと、こんな答えが返ってきた。この10年で、かつて多数派だった「夢見がちな女子」はいなくなった。大企業の経営破綻や非正規雇用の増加は、ドラマの主要な視聴者である若い女性も直撃。「ずっと長い間続いてきた価値観が、いかにもろいか気づいちゃった。しっかりして地に足がついているというか、地に足がめりこんでいるくらい」。彼女らを見る視線は客観的で鋭く、あたたかい。

脚本を書く前にはドラマに登場させる人物像を探すかのように、人に可能な限り会う。テレビ局の仲介や人づてで、回数をできるだけ重ねる。そして酒を飲んで話し込む。彼女たちの本音に触れて初めてせりふが生まれる。「取材の中園ミホ」と言われるゆえんだ。

時代と共に移り変わる女性の生き方と本音を描いてきた

「ハケンの品格」では徹底的に派遣社員の女性に会った。なかなか本音は出てこない。でも粘り強く回数を重ねる。その結果として出合った「ダムが決壊するように言葉があふれ出した瞬間」を忘れることができない。職場への不満、セクハラ、将来への不安――。「取材を受けてくれた人の生の声を届けなければ」と思った。「物語はファンタジーだけど登場人物はリアルに」。実際にはありえないスーパー派遣社員とその職場模様を通して、派遣で働く女性の今を浮き彫りにした。「『変なヒロインが出てくるけどスカッとする!』なんて、昼休みのスタバで自分のドラマの話をしてくれてたら最高の幸せ」。ドラマが高視聴率をたたき出す理由は、女性の気持ちの代弁者への共感なのかもしれない。

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