クリーン志向で社会変革 旧態依然はイヤ
Wの未来 キレイになる
女性が目指す「きれい」は、社会の仕組みや働き方にも向かう。
大阪府北東部の島本町議会は議員14人のうち7人が女性だ。人口流入が続く京阪のベッドタウンで、生活に関わる行政に関心を持つ女性が多いことなどが背景とされる。女性比率は2001年に4割を超え、13年の選挙で半数になった。全国町村議会の平均が8.7%(13年末)にとどまるなか、全国有数の高さだ。
女性議員が半数
「事前の根回しが減り、議場での議論が活発になった」。01年から議員の平野かおる(59)は話す。一般質問に立つ議員は00年に半数未満だったが、13年の12月議会では14人中11人。同町幹部は「何を聞かれるか分からず、緊張感がある」。
住民への議会だよりには13年9月から議員名と質問内容が載るようになった。それまで議員名はなく、透明化を訴える女性議員らが明記を求めていたからだ。
女性議員が多い同町でも子育て支援などの施策が特に充実しているとはいえないとの指摘はある。ただ、早稲田大マニフェスト研究所の調査では、情報公開や住民参加といった議会の「改革度」の高さは、女性議員比率の高さと相関関係がある。次席研究員の中村健(42)は「女性議員はしがらみにとらわれず、自らの役割や使命を全うしようとする人が多い」と話す。
「男性従業員は現場の状態に疑問を持たない傾向があるが、女性はよく気づき、改善を積極的に提案してくれる」。新日鉄住金尼崎製造所の幹部は語る。06年に現場への女性採用を始め、09年、女性が働きやすい安全な環境に向けたプロジェクトチームを設けた。
メンバーの居波礼華(23)らが、大事故につながりかねないヒヤリ・ハット事例を集め改善する。例えば細い鋼管を束ねるのに使う約15キログラムの工具。男性は片手で持ち、もう片方で鋼管を装着するが、女性には難しい。居波は工具を支える台を提案。両手が使え「作業が楽になった」と男性にも好評だ。高温の炉と通路は断熱カーテンで仕切った。月5件ペースでカイゼンし、女性の視点が安全性と効率を上げている。社内報告会で発表、他工場でも同様の活動が活発になった。
セクハラ根絶へ
暴力やセクハラ問題で揺れた全日本柔道連盟。理事の北田典子(47)らが、選手が安心して活躍できる環境づくりに苦闘している。
北田は1988年ソウル五輪の銅メダリスト。自らの子育て経験から「全選手が誰かの子供。嫌な思いをする選手がいれば母親はどんなに悲しいか」との思いで奔走する。昨年夏には全国の大会を回り、選手約3千人にセクハラや暴力の有無などをアンケート調査。「郵送では本当のことを書いてもらえない」と、一人ひとりへの手渡しと説明にこだわった。4月20日の全日本女子選手権などでは会場に、スポーツ界では珍しい無料の託児所を設けた。
ただ、改革は道半ばだ。「女子選手らの心の傷はまだ癒えていない。品格ある柔道界に向けて取り組む」
クリーンさを求め、旧態依然のものに漫然と流されない。そんな女性が変革の原動力になる。(敬称略)
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