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offer はビジネスでは非常に幅広く使われる言葉です。make an offer 「オファーする」にしても、accept an offer 「オファーを受ける」にしても、実は日米の「オファー文化」にさほど大きな差異はありません。

offer の本来の意味は「神への御供物、いけにえ」。an offering to the gods と言えば「神々への供物」ですが、「教会への献金、人々への贈り物」の意味になります。今週もoffer について、学んでいきましょう。

イラスト Dセイン

イラスト Dセイン

Case 1 : オファーを受け入れる
  Ito: It feels like a freezer in here.
Tanaka: Man up! It's not that cold. Mariko, did you get some estimates?
Mariko: Base Electronics said they can replace our heating system for $22,000.
Tanaka: That seems a little high to me. Is that the best offer we got?
Mariko: Ace Electronics offer was 5 percent lower, but they need two weeks to do it.
Tanaka: Well then, call and try to bargain them down another 8 percent.
Mariko: Whatever you say, but everyone will freeze to death by then. It's getting serious.
Tanaka: Well, I guess we'll have to go with Base Electronics.
【対訳】
 伊藤: ここは、まるで冷凍庫みたいですね。
 社長: 男だろ、しっかりしろ!それほど寒くはないぞ。まり子、見積もりは取れたか?
まり子: ベース・エレクトロニクスが2万2000ドルでわが社の暖房装置を取り換えられると言っています。
 社長: 少し高いように思えるがな。それが我々への最高のオファ―なのかな?
まり子: エース・エレクトロニクスの割引価格は、それよりも5パーセント低くなっています。ただ、取り換えるのに2週間必要だそうです。
 社長: それなら、彼らに電話をかけて、後8パーセントダウンしろと交渉してくれ。
まり子: でも社長が何と言おうと、それまでに皆凍え死んじゃいますよ。これ、真面目な話です。
 社長: そうか、じゃあ、べース・エレクトロニクス社に同意せざるをえないな。

解説)

Man up! : 「男だろ、しっかりしろ」の意味。カジュアルな表現ですが、chauvinisticと感じる人がいるかもしれません。広く男性に対して使われますが、女性に対してもよく使われます。

*chauvinistic: 熱狂的な愛国主義の、男性の方が優れていると信じている(男権主義の)、性差別主義の

Is that the best offer we got? 

*「わが社が得た最高のオファーなのか」が直訳。 offer: オファー以外にも「割引価格」の意味があります。

call and try to bargain them down another 8 percent: call and try to… は「電話をかけて~してみてくれ」ということ。 bargain down は「もっと安い値段を受け入れるように説得する」という意味。

Whatever you say は「あなたが何と言おうとも」

Everyone will freeze to death by then.: それまでに皆凍え死んでしまいます。

freeze to death: 凍え死ぬ、凍死する

It's getting serious. : 「真面目な話です」すなわち「だんだん真面目な話になってきました」

I guess we'll have to go with Base Electronics. ベース・エレクトロニクス社と同意せざるをえないな。

*I guess we'll have to…は、強い断定を避けて「まあそうしなくちゃならないだろうな」というニュアンスになります。

Case 2: オファーを受け入れる
Mariko: We're getting close to accepting your offer.
Base Electronics: Thanks. That's good news.
Mariko: But there's just one thing. Can you cut the price by 8 percent?
Base Electronics: You drive a tough bargain.
Mariko: Just between you and me, my boss is really stingy. How about not including the sales tax in the price?
Base Electronics: Well, the sales tax is 8 percent, so the actual cost wouldn't change.
Mariko: I know, but it's the only way my boss will greenlight your offer.
Base Electronics: Okay, let's do that. I'll revise our estimate and resend it in a few minutes.
Mariko: Great. Please hurry because it's freezing here.
【対訳】
まり子: 御社の価格をお受けすることになりそうなんですが。
ベース・エレクトロニクス(BE): ありがとうございます。それは大変ありがたいです。
まり子: ただひとつだけ。価格を8パーセントカットできますか?
 BE: それはまた、ずいぶん厳しい条件ですね。
まり子: ここだけの話なんですが、うちの社長はすっごいケチなんですよ。価格に消費税を含めないというのはどうでしょうか?
 BE: でも、消費税は8パーセントですから、実際の値段は変わらないですよね。
まり子: 分かってます。でも、これが、うちの社長がおたくの価格にゴーサインを出す唯一の方法なんです。
 BE: 分かりました。じゃあ、そういたしましょう。見積書を書き換えましたら、すぐに再送いたします。
まり子: それで結構です。急いでください。ここは凍りそうですから。

解説)

We're getting close to accepting your offer.: 御社の価格をお受けすることになりそうなんですが。

*We're getting close to…は「~にだんだん近づいている」すなわち「決定ではない」の含みがあります。ここから、新たな交渉に入るかもしれません。

That's good news.: それはいい知らせです/ありがたいですね。

*ビジネス現場などでもよく使われる表現。反対によくない知らせ/こまった知らせであればThat's bad news.になります。

You drive a tough bargain.: ずいぶん厳しい条件ですね。

*「(相手に対して)一方的に有利な条件で取引する」の意味。「厳しいなあ」という気持ちが表れています。

Just between you and me.: ここだけの話ですが。

*「あなたと私の間だけのことなんですけど」の意味。ビジネスにつきものの「秘密」もsecretのような言葉を使わずに表せます。

greenlight one's offer: ~のオファーにゴーサインを出す

*greenlightは「青信号」すなわち「ゴーサインを出す/認可する」の意味で、ビジネスでよく使われます。

セインのビジネスひと口メモ

「オファー」が幅広い言葉であるなら、映画などのセリフによく出て来るのは自然な成り行きでしょう。

Make him an offer he can't refuse. 「文句は言わさん」は、名作God Father 「ゴッド・ファザー」の中で、マフィアの親分、ドン・コルレオーネの言葉です。何故これが「文句を言わさん」なのか?

これはI'm going to make him an offer he can't refuse.「彼が断わることのできないオファーする、だから、彼は断ることができない」すなわち「文句は言わさん」の意味になります。

マフィアのドンの言葉ならではの迫力があり、物騒です。これでは誰も断れないし、ましてや文句など言えるわけがありません。これはもちろん、脅し文句ですが、ビジネスでも「断れないほどのいい条件を出す」という意味で使われます。

いつか、凡人の私がこのセリフを使える日はやってくるのでしょうか。

Keep trying!

:D セイン

デイビッド・セインの「ビジネス英語・今日の一場面」は木曜更新です。次回は4月28日の予定です。
デイビッド・セイン(David Thayne)
米国出身。累計売り上げ部数350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」(www.smartenglish.co.jp)の代表を務める。日本で26年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまでに教えた日本人は数万人にのぼる。日本人に合った日本人のための英語マスター術を多数開発している。
 東京・文京区のエートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに、英会話教育メソッド「デイビッド・セイン英語ジム」(http://www.david-thayne.com)の監修も行っている。主な著書に、「チームリーダーの英語表現」(日本経済新聞出版社)、「ネイティブが教える英語の語法とライティング」(研究社)などがある。

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