缶詰のつまみ、庶民の味から高級路線に

国分「缶つま GLOBAL TOUR」のフランスの地方料理のサバを味わえるシリーズ5品。各500円(税別)
国分「缶つま GLOBAL TOUR」のフランスの地方料理のサバを味わえるシリーズ5品。各500円(税別)
“家飲み”の普及に伴い、缶詰の高級化が進んでいる。フランスの地方料理、人気店の定番メニュー、ブランド鶏を使ったやきとりなど、話題の“プレミアム缶詰”を紹介する。

人気の「缶つま」シリーズにフランスの地方料理が登場

安価で手軽な保存食だった缶詰。最近は、家飲みのつまみや、すぐに食べられる美味しい惣菜として幅広い層に人気だ。国分グループ(以下、国分)の「缶つま」はシリーズ全体の15年度の売り上げが20億円以上。ホテイフーズコーポレーション(以下、ホテイ)もここ数年、売り上げが伸びているとする。各メーカーは商品の差別化のために、世界各国の味や、高級素材を使ったシリーズを打ち出している。

たとえば、サバの缶詰といえば、かつては水煮と味噌煮が定番だったが、国分が販売する「缶つま GLOBAL TOUR」シリーズに、この3月、新ラインアップとしてサバをフランスの地方料理の味つけで楽しめるシリーズが登場した。

ノルマンディー地方のバターで作ったエスカルゴバターを用いた「サバのエスカルゴバター」や、オリーブやトマト、ハーブを使った「サバのプロバンス風(トマト&ハーブ)」、エシャロットをいためて魚のだし汁を加えた白ワインソースを使った「サバのヴァンブランソース(白ワイン&レモン)」など。白ワインを開け、バゲットを切れば、自宅がビストロに早変わりする。 

そもそも缶詰は、その誕生にフランスのナポレオン1世が関与している。食糧をどうやって遠征先に補給すべきか悩んだナポレオンは、考えあぐねた末、賞金付きでアイデアを公募。見事1万2000フランの懸賞金を手にしたのが、ニコラ・アッペール。彼が1804年に発明した瓶詰めの原理が、その後缶詰に発展したのだ。200年以上もたって、フランスの地方料理が東洋の島国で、缶詰の形で食べられることになろうとは、ナポレオンも想像できなかったに違いない。

国分の「缶つま」は、そのほかさまざまなシリーズを展開している。前述の「GLOBAL TOUR」は、商品の差別化として世界観をだしていきたいという狙いから、2012年にスペインのガリシア地方の食材を使ってスタートしたもの。「缶つまGLOBAL TOUR」5品のほか、「缶つまプレミアム」3品、「缶つまSmoke」「缶つま熟成」「缶つま匠 ROCK FISH流」「缶つまホルモン」などの新商品も同じ3月に発売された。

「缶つま匠 ROCK FISH流」は、銀座でもっともうまいハイボールを飲ませてくれるバーとして知られる「ROCK FISH」の店主・間口一就氏が監修した缶つまで、「ROCK FISH流スコッチエッグ」はその第3弾。このスコッチエッグは客の大半が頼むROCK FISHの名物料理だ。

また、新シリーズの「缶つまホルモン」は、ホルモン屋でおなじみの部位を賞味できるもの。牛のマルチョウ(小腸)のじか火焼き、牛のサガリ(横隔膜)のじか火焼き、豚モツの味噌煮込み、鶏ハラミのじか火焼きの4品で、鍋で水を沸かし、火を止め、缶ごとを入れて数分温めて、肉とタレを堪能し、少し残した肉とタレを温かいご飯にかければ、“缶〆”にもなるのが、この缶つまの魅力でもある。

こうした幅広い商品展開から、すっかりファンも定着し、缶つまをアレンジしたレシピも豊富に紹介されている。家飲みも大いにけっこうだが、こうした缶詰は、花見やピクニックにも最適だ。お気に入りのワインと一緒に、アウトドアでも楽しもう。

プレミアムな缶詰で手軽にぜいたくな大人の時間を

“家飲み”という言葉が定着するずっと以前から、晩酌用の缶詰として人気を評してきたのが、ホテイの「やきとり たれ味」だ。

焼き鳥屋でつまんでいた焼き鳥を家族みんなで食べられる総菜として、1970年(昭和45年)に発売。そういう意味でホテイフーズは、飲み屋の料理をいち早く缶詰にしたパイオニアと言っても過言ではないだろう。

昨今、焼き鳥とワインのマリアージュを楽しむ人が増えている。タレ味なら赤ワインが合うが、ホテイフーズの「やきとり 塩味」には白ワインを試したい。ハイボールも良さそうだ。塩味の焼き鳥は無限の広がりを秘めている。

ホテイフーズの缶詰も、高級素材を使った製品の人気が高い。

2012年に、ブランド鶏「名古屋コーチン」を炭火で焼き上げ「瀬戸内の花藻塩」で仕上げたプレミアム版「名古屋コーチンやきとり」を発売したところ、その反響に手応えを感じて、2014年に「今までにない缶詰を」と「プレミアム缶詰」路線を強化したという。

「やきとり」の他、酒のつまみになるつぶ貝や赤貝など貝類の缶詰も発売していたことから、広島のカキとマッシュルームをオリーブオイルとニンニクで煮込んだ「牡蠣のアヒージョ」、国産ホタテをバジルソースに漬け込んだ「帆立のバジルソース仕立て」などを発売。香ばしくグリルした鶏砂肝をオリーブオイルでジューシーに仕上げた「砂肝のグリル オリーブオイル仕立て」もヒット。13年度(13年10月~14年9月)と14年度(14年10月~15年9月)の売り上げを比較すると「2倍以上の伸びとなった」。

ホテイフーズの「牡蠣のアヒージョ」450円(税別)、「砂肝のグリル オリーブオイル仕立て」300円(税別)、「国産鶏のスモーク オリーブオイル仕立て」300円(税別)、「帆立のバジルソース仕立て」400円(税別)

こうした缶詰は、ワインのアテにも最高だし、「牡蠣のアヒージョ」や「帆立のバジルソース仕立て」などはパスタとあえればイタリア料理に変身する。

さらに3月には、プレミアム缶詰の新作として、牛すね肉を赤ワインソースでじっくりと煮込んだ「牛すね肉の赤ワイン煮」を発売。トマトやタマネギなど4種類の野菜の滋味と牛すね肉のうまみを含んだソースをパンに付ければ、赤ワインが進むこと間違いない。

ビストロ風に仕立てるなら、皿に開けてマッシュポテトを添えて。プレミアム缶詰でちょっとぜいたくな大人の時間をお試しあれ。

ホテイフーズの3月の新商品「牛すね肉の赤ワイン煮」400円(税別)

(フリーライター 中島茂信)

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