罪悪感は必要なし 外食・中食を子供と賢く楽しむ

日経DUAL

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こんにちは、とけいじ千絵です。私は、「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、小さな子どもを持つパパ・ママ向けに講座を開いたり、フードアナリストとして企業の商品開発のお手伝いや執筆活動をしたりするなど、「食育」に携わっています。今回は「外食・中食を子どもと一緒に楽しむ方法」についてお話ししたいと思います。

共働きの家庭にとって、平日は息をつく間もないくらい怒とうの日々ですよね。そんな日々でもお母さんは頭を悩ませながら、おいしく楽しく時間をかけずに食事を作るために、色々な工夫をしていらっしゃると思います。そして、毎日手作りなんてしていられないと、外食・中食を取り入れているお母さんもたくさんいると思います。

「外食」とは家以外で食事をすること、「中食」とは料理品小売店の店頭で弁当や総菜などを買ってきて家で食べることをいいます。外食は1980年代、中食は1990年代後半になり、女性の社会進出に伴って、その機会が増加しました。

でも、中食・外食の食事が続く毎日に、罪悪感を抱いているお母さんもたくさんいるのではないでしょうか。

先述したように、外食、特に中食が急激に増えるようになったのは1990年代後半に入ってからとつい最近です。自分自身が子どものころに、日常的に外食・中食をした思い出を持たないお母さん達は、自分の子どもに手料理を食べさせていないことに対する罪悪感を抱いてしまうのだと思います。

しかし、視点を変えてみると、外食は普段食べ慣れたお母さんの味以外の、新しい味を試す・知ることができる貴重なチャンスです。また、料理を作る時間、後片付けの時間が省ける分、子どもときちんと向き合って食事をする時間をつくることができるはずです。

さあ、今から外食・中食をすることに罪悪感を持つのはやめて、外食・中食を積極的な食育の場と捉えてみませんか。

外食・中食の問題点を知っておく

1.脂肪と塩分に気を付ける

外食・中食は、不特定多数の人が好きなメニューがほとんどです。そのため、お肉中心で、お野菜が少なく、揚げ物やいため物などの油脂を多く用いた調理法になりがち。そして味付けは、一口でもおいしいと感じられるように、また冷めてもおいしく食べられるようにと、濃いめに作られています。その結果、カロリー過多、塩分過多となってしまいます。

人がおいしいと感じる塩分濃度は0.8~0.9%といわれていますが、外食・中食での味付けは概して濃いめで、1.0~1.1%くらいの塩分濃度のものもあります。WHOは食事の塩分濃度として、乳児向けには0.5%、幼児向けには0.6~0.7%を推奨しています。外食・中食での塩分濃度は小さい子どもにとってかなり濃いものだということを認識しておきましょう。

(1)中食の場合は、和え衣で塩分濃度を下げる

塩味が強いお総菜には、あえ衣を使ってみましょう。おすすめは、大根下ろし、山芋すり下ろし、蒸し野菜、ヨーグルト、お豆腐など。買ってきた中華風の野菜いために大根下ろしを入れてあえてみる。ポテトサラダにヨーグルトを足してみる。ホウレン草の胡麻あえに山芋のすり下ろしを足してみる。食材を1品足すことで栄養価も上がりますし、かさ増しにもなります。また、調理器具も使うのは下ろし金くらいで楽ちんです。もちろん、たれやスープを捨てる、薄めるなどでもOKです。塩分濃度を下げる一工夫をすることで、中食への罪悪感も和らぎます。

(2)行きつけのレストランへ

外食の場合、おすすめはズバリ、行きつけのレストランを作ることです。行きつけのレストランであれば、お店の迷惑にならない程度にお塩や油を少なめでと頼むことが可能です。

2.栄養バランスは1日の中で調整するのが簡便

外食、中食を多く取り入れると、栄養バランスが偏ってしまうことがあります。栄養バランスについては、農林水産省の発表している食事バランスガイドを念頭に置いて考えるのがベストですが、そこまで難しく考えなくても、「幼児期は少なくとも1日25品目」をきちんと取れるように、ざっくりと意識していただければと思います(中公新書『子どもの食事』根岸宏邦 2000年を参考)。

食品の品目の数え方は、例えば昼食に肉うどん、サツマイモの甘煮、ヨーグルトを食べた場合、「牛肉、人参、さやえんどう、しめじ、キャベツ、コーン、うどん、片栗粉、サツマイモ、ヨーグルト、砂糖、ジャム、サラダオイル」と合計13品目に数えられ、これには一部調味料も含まれています。

夕飯を外食・中食にする日は、選ぶメニューによっては品数を多く取れない場合があるので、意識して朝の品目数を多くするなどの工夫をするとよいでしょう。

お店や料理の選び方について

1.子どもが食べるものは、親の絞った選択肢の中から

私の講座を受講してくださるお母さんにヒアリングしてみると、「外食・中食のときくらいは、好きなものを食べさせてあげる」という意識が強いお母さんが多いです。それは、外食のときには静かに黙って食べて欲しいという気持ちがあること、そして何より、自分が幼少期、外食時には好きなものを食べさせてもらえたからという記憶があるからに他ならないのではないでしょうか。

20~30年前は今ほど外食・中食が普及していませんでしたから、外食=非日常であり、そのときばかりはと好きなものを食べさせてもらったという記憶があると思います。しかし現在では、家庭ごとに差はあるでしょうが、フレンチなどの高級レストラン等ではない限り、外食・中食はもはや日常であり、特別なものではありません。

日常である以上、普段家で食事をしているときと同じように、子どもの食事のメニューは、子どもの体や健康状態を考えて、親が決定するべきなのです。当たり前ですが、子どもは自分の好きなものを選びます。毎日同じものが続いていても、栄養バランスなんておかまいなしです。子どもが食べるものは、子ども自身の選択に委ねるのではなく、親が決めるべきです。お店にしても、お料理にしても、まず親が候補を3つぐらいに絞り、その中から子どもが選ぶという習慣をつけましょう。それができなくとも、例えば1週間でカレーを2回食べることがないように、「過去1週間で食べたものは頼まない」ことを外食・中食でのルールにしましょう。

2.お店選びは1週間のメニューを考えて

外食ではどういったお店を選ぶのがいいかとよく聞かれますが、基本的に、洋食が続く、お肉が続く、ラーメンが続くなどとならないよう、1週間の食事メニューを考え、偏らないようにすればいいと思います。あらゆるメニューがあるファミリーレストランの業態を選んでしまいがちですが、様々なメニューがあると、子どもは自分が好きないつも同じものしか選びません、専門店のほうが選ぶ範囲を狭められるので、時には専門店を選びましょう。ビュッフェ形式のお店であれば、まず1皿目は親が取るというルールを作って、栄養バランスが偏らないようにしてあげてください。

3.キッズメニューではなく大人メニューから取り分けがベター

キッズメニューは、お店によっては味付けを薄くしている場合がありますが、大抵の場合は「子どもに適したメニュー」というよりも単に「子どもがよく食べる=子どもが好きなメニュー」であるにすぎません。ハンバーグ、ラーメン、スパゲティ、カレーライスがキッズメニューの定番でしょうか、これらは脂質と炭水化物に偏っている食べ物です。

できる限り大人の料理の取り分けをし、時には、キッズメニュー以外のものから選んでみるようにしてください。その点では、あらかじめ味付けが施されているファミレスよりも、専門店のほうが、味付け薄めや、油少なめ、子ども用に薬味は別盛りで、などと細かいお願いがしやすいです。

いかがでしたでしょうか。以上の点に気を付けながら、外食・中食の際は、作ってくれた人への感謝を言葉にしてみたり、食材の話をしてみたりしてください。

外食・中食と上手に付き合いながら、子どもも大人も楽しんで食事ができるといいですね。

とけいじ千絵
1級フードアナリスト協会認定講師であり、「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、『審食美眼塾』を主宰する食育・卓育スペシャリスト。現在は、フードアナリスト、講師、フードライターとしてラジオ、雑誌などで活躍中。また関東を中心に食育講座や出汁講座、オリジナル箸を手作りして箸の文化や使い方を学ぶMy箸作り講座を開催している。全国フランチの会副会長・ジャパンフードセレクション審査員。 公式ブログ「とけいじ千絵の審食美眼」

[日経DUAL 2016年2月24日付記事を再構成]

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