1kg切りノートが3万円台 驚異の安さで性能は妥協戸田覚のPC進化論

日経トレンディネット

軽量、格安のVivoBook E200HA。ぱっと見はなかなか良さそうだ
軽量、格安のVivoBook E200HA。ぱっと見はなかなか良さそうだ
日経トレンディネット

気軽に持ち歩いて使えるノートパソコンが欲しいと思っている人は少なくないだろう。既に持っているけれどちょっと重いとか、古くなったから買い替えたいと考えている人もいるはずだ。とはいえモバイルノートは高いのでおいそれとは手が出せない。パソコンの値下がりが進んだ今でさえ、高性能モデルを買おうと考えると20万円以上する。

ところが、エイスーステック・コンピューターからすごいモデルが登場した。「VivoBook E200HA」は980gという超軽量モバイルノートだが、価格はなんと3万円台半ばなのだ。ここまで安いパソコンが問題なく使えたりしたら、他のメーカーにとっては脅威としか言いようがない。ということで、実際はどうなのかチェックしていきたい。

文句なしに軽く、画面サイズも十分

先日、あるカフェで周囲を見渡したら、10型の格安2 in 1ノートで仕事をしているビジネスマンがいた。さすがに、体が縮こまっていて窮屈そうだった。画面が小さいので距離が近くなるし、キーボードも小さい。ある程度体格のいい人にはやっぱり小さ過ぎる。もちろん、メールのチェック程度ならそれでも構わないのだが、本格的に使うとなると11.6型が限界だと思う。

さて、今回取り上げるVivoBook E200HAの液晶サイズは、まさにその11.6型だ。この手の激安パソコンは8~10.1型を程度のものが多いので、この液晶サイズはうれしい。

VivoBook E200HAを手にしてみると、その軽さにもうれしくなる。やっぱり1kgを切っていると「軽いなあ」と感じる。厚さは17.5mmでこちらも立派だ。かばんへの収まりも良く、書類などと一緒に持ち歩ける。

お借りしたモデルがゴールドだった恩恵もあるだろうが、思っていたほどチープ感がないことにも驚かされた。つや消しの塗装が巧妙で、一瞬、金属製かと思わせる。

天板はなかなか美しく、3万円台半ばとは思えない外観
底面がスッキリしているのも個人的には好評価

性能、拡張性は格安タブレット並みか

VivoBook E200HAのCPUはAtom x5-Z8300で、メモリーは2GBと格安Windowsタブレット並みだ。実際に作業をしてみた感じでは、やっぱり快適とは言えない。ウェブサイトの閲覧やメールチェック程度なら十分だが、「MS Office」でヘビーな作業を始めると厳しいだろう。

また性能よりも厳しいのがストレージで、標準では32GBしかない。2万円台で買えるような激安タブレットのレベルなのだ。ただし、そこは少し考えられていて、標準で32GBのmicroSDカードが付属する。付属しないよりはマシだが、それよりも本体のストレージを64GBにしてくれたほうがありがたかった。

これは、そもそもがこの価格なのでスペックは妥協せよということだ。逆に言うなら、microSDカードを買い足さなくてもある程度使えるように考えられているのだから良心的とも言える。

また、VivoBook E200HAの端子類はUSB端子は3.0と2.0がそれぞれ1基ずつで、拡張性も決して高いとは言えない。おそらく薄さのためだろう、外部ディスプレー出力もHDMIではなく、microHDMIが採用されている。プロジェクターとの接続には専用のケーブルやアダプターが必要になると思われるが、もちろん、ここも妥協すべきポイントだ。

拡張性は最低限だが、タブレットよりははるかに使える

視野角が狭い、キーボードは合格点

VivoBook E200HAの液晶は、思っていたよりきれいだった。解像度は1366×768ドットと最低限だが、一昔前は15型のノートでさえこの解像度が当たり前だった。11.6型なので粗さは感じないだろう。

とはいえ、TFTではないので視野角が狭い。角度を付けて見ると“見えなくなる”のではなく、色合いが変わってしまう。左右はまだいいのだが、上下の視野角がかなり狭いので、最適な角度に調整しないといけない。

少し角度を変えると色が変わってしまう。縦方向の視野角の狭さは残念だ

また、この手のモバイルノートはアンチグレアにしてほしいところだ。VivoBook E200HAに限ったことではないのだが、光沢タイプの液晶は映り込みがかなり気になる。必要に応じて市販のフィルムを貼り付けるなどするといいかもしれない。

一方キーボードは、モバイルノートとしては打ちやすい。キーピッチは定規による計測で18mm程度。また、ストロークも僕の感覚だと1.5mm前後だと思う。配列も100点満点で70点といったところ。一部のキーが小さくなっているのは、本体サイズを考えると致し方ない。個人的には矢印キーが小さいのが気に入らないくらいのものだ。

キーボードはアイソレーションタイプでストロークもそれなり。矢印キーが小さいのが惜しい
タッチパッドがボタン一体式なのはいただけない

注文を付けたいのは、タッチパッドがボタンと一体化していること。独立したボタンを備えているほうが絶対に使いやすいと思うので、個人的にかなり残念なポイントだ。

使うなら標準のOffice互換アプリ

VivoBook E200HAには、標準でキングソフトのOffice互換アプリが付属する。基本的にはこのまま使うのがおすすめだ。パッケージにもよるが、MS Officeを別途手に入れると2万~3万円は掛かる。それでは本体の割安感がなくなってしまう。

VivoBook E200HAは、ウェブサイトの閲覧やメールチェックを中心に、たまにOffice互換アプリを使う程度の用途が向いている。おそらく、しばらく使っていると「遅い」「容量が足りない」といったストレスを感じるだろう。しかし、1kg前後で快適に使えるモバイルノートは15万円前後が相場なのだから、3万円台という価格を考えれば妥協できるはずだ。バッテリー駆動が12時間と長く、拡張性もタブレットより高いので、キーボード付きのタブレットを狙っている方にもおすすめできる。

いやらしいのだが、あえてMacBookと並べてみた。「MacBookのなんと神々しいことか」と個人的には思ったのだが、パソコンに詳しくない人に2台を見せたら、「価格が4~5倍も違うならVivoBook E200HAがいい!」とのこと。「できることはどう違うの?」と聞かれても、簡単には説明できない……というより、実は大して変わらない。もちろん、快適かどうかには大きな差があるのだが……。

VivoBook E200HAは「使い込んでいくうちに物足りなくなるかも」という注釈付きだがおすすめしたい。確かにこの製品でこの価格は驚異的だ。

MacBookの出来の良さが改めて認識されるが、安いならVivoBook E200HAで十分と言われると答えに窮する
戸田覚(とだ・さとる)
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

[日経トレンディネット 2016年3月1日付の記事を再構成]

注目記事
今こそ始める学び特集