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リーダーのマネジメント論

「孫さんは…」柳井氏の考える本物のリーダー ファーストリテイリング会長兼社長 柳井正氏に聞く(上)

2016/4/5

 年間1兆7千億円を売り上げるアパレル世界大手のファーストリテイリング。世界で1700店を運営するカジュアル衣料品店「ユニクロ」を中心とする企業体を引っ張るのが、柳井正会長兼社長だ。「社員全員を経営者に育てる」と話す同氏に、柳井流のマネジメント論を聞いた。

>> 柳井氏に聞く(下) 「まずエベレストではなく丘に上れ」

 「日本には経営していない経営者が多い」と以前話していましたが、真のトップとはどんな人でしょうか。

 「成果を上げられるかどうかだ。会社は社会の公器で、特に上場企業は市場というところで自分の会社を売っているのと同じ。会社が評価されるのは、どれくらい成長したか、どれくらい収益を上げたか、人材を育成しているかというところだと思う。日本の悪い癖で、順送りでバトンを渡すような経営はダメだ。前の人と同じようなことをやっているんだったら、経営者は代わる必要がない」

 「デジタル革命の進展で世界中のあらゆる人が情報に接することができるようになった。いつ何がおきて、どういう競合相手が出てくるかわからない。日本は島国で企業はある意味守られていて、「官民護衛艦隊」だ。そこでバトンタッチが起きているだけだ。大企業は当然、中小企業も自分たちの産業がどうなるか考えないといけない。国内の調整ばっかりしていることが一番問題なんじゃないかと思います」

 「うちもそうだが、海外の会社を買ってうまくいっている会社がほとんどない。これも問題だ。(うまく回すためには)本社とか本部自体がまずグローバル化し、世界中に出て行くようにしないといけない。いち担当者がいって、現地の経営者に話したってよくなるわけない。オーナーシップがないからね」

 日本で「経営している数少ない経営者」として、ソフトバンクグループの孫正義代表を挙げています。同社の社外取締役を務めるなど、孫社長と近い関係にありますね。

孫正義氏(左)

 「孫さんは実業家という面もあるが、インターネットの投資家だった。100社買って99社失敗して、1社で(投資価値が)1万倍になるような。それもそろそろやめてもらいたいと思っているんですよ。僕は。孫さん、そんな気が散ることをやめてくれと。実業家として生きてくれといっているんだけども、なかなか説得されない。ソフトバンクは日本を代表する大会社ですからね、大人のソフトバンクになってもらわないとな(笑)。彼には本当に経営者として成功してもらいたい。だからこそ、いつも孫さんの意見には僕が反対するんだ」

 物事を考えるとき、どうプロセスを組み立てていきますか。

 「最高にうまくいったら、全部大成功したらどうなるかというのをまず考える。人が力が出るのは、大成功したときですよ。大成功して全部うまくいって、すべての人がハッピーになった姿をまずイメージしないといけないと思う。でも全く反対で、現実は厳しい。現実的には超厳しいので、超厳しくやって、しかも希望を失わないように。矛盾するんですが、経営でよく『鬼と仏になれ』っていうでしょ。そういうことをやっていく。理想と現実を行ったり来たりする。計画の中で厳しいんだけど良いところがありますよね。そこで一点突破していく」

 「うまくいってない会社は、人事が停滞している。偉くなっちゃいけない人が偉くなって、本来能力ある人が下に沈んでいる。だから、下に沈んでいる人をポップアップすることと、本来管理職とか偉い人になっちゃいけない人をそうでないようにしていく」

 「会社っていうのはもともとプロジェクトだと思わないといけない。会社というと、すごく固いもので、お城とか、大名家みたいなイメージあるでしょ。そんなものはないんだよ。何でもできるわけ、本当は。トップがその気になれば、何でもできる。」

 経営者としての最終目標は。

 「経営者がたくさんいる会社をつくることだ。うちの一番のモットーは、『グローバルワン・全員経営』なんですよ。労働者の態度や感覚で仕事をするのと、経営者、それも管理職じゃなくてトップ経営者の態度や感覚で経営するのと、えらい違いです。僕は経営者をつくっていって、社員フランチャイズのような経営者や、海外の事業をつくる経営者。経営者を世界一つくった経営者になる。最終的には(世界で約10万の)社員全員が経営者になる会社をつくる。資本主義と自由主義が続く限り、経営者ほど面白い仕事はない」

 大切にしている習慣はありますか。

柳井正氏

 「家でストレッチすることですかね。ダンベルやおもりを使って、四股を踏んだり肩を回したりする。ゆっくりですよ。お風呂に入る前にやります。夕方の早い時間に帰るので、できるだけ明るいうちに風呂に入ってます。明るいうちに入ると、幸せだなと思いますよ。運動で体調を整えて、それからパソコンを見たり、いろんなこと考えたり、本読んだり食事したりします。結局、創業者みたいな人は、自分の仕事のことが頭から離れることはないですよ」

柳井正氏(やない・ただし)
1971年早稲田大学政経学部卒、ジャスコ入社。72年に小郡商事(現ファーストリテイリング)入社。84年社長、2002年会長。05年9月、社長に復帰

(岩戸寿 代慶達也)

>> 柳井氏に聞く(下) 「まずエベレストではなく丘に上れ」

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