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「明日へ」奏でるエール 内外アーティストが福島に

2016/3/16 日本経済新聞 夕刊

国内外のミュージシャンと地元の高校生が共演してフィナーレを迎えた(6日、福島県文化センター)=写真 中嶌英雄

国内外のミュージシャンが福島市に結集し、東日本大震災の復興支援コンサートを開いた。観客から熱い手拍子と大合唱が何度も巻き起こり、音楽を通じて復興への希望を分かち合った。

復興支援コンサート「ミュージック・フォー・トゥモロー」は6日午後、福島県文化センターの大ホールを舞台に、地元の和太鼓集団「山木屋太鼓」が打ち鳴らす勇壮な響きで始まった。続いて演歌の八代亜紀が登場し、和太鼓と笛をバックに「舟唄」を歌った。

3部構成のうち1部の主役はブラジルのセルジオ・メンデスだ。「フクシマニコラレテ、トテモコウエイデス」と日本語で語り、ボサノバの名曲を次々と披露する。八代と山木屋太鼓を交えてヒット曲「マシュケナーダ」を演奏すると、観客は熱い手拍子で応えた。

「ミュージック・フォー・トゥモロー」は米国のジャズピアニスト、ボブ・ジェームスの「音楽で人々を勇気づけよう」との呼びかけで始まった。彼は自宅に日本庭園を造るほどの親日家。震災後、多くの海外ミュージシャンが来日公演を中止する中で「音楽を通じて支援したい。すぐ日本に行きたい」と声を上げた。

半年後の2011年9月、盛岡市で開かれるジャズ祭「いわてジャズ」のために来日した。ジャズ祭で共演する岩手県大船渡市のアマチュアビッグバンドのために「プット・アワー・ハーツ・トゥゲザー」という曲を作った縁で大船渡を訪れた。「津波で何もなくなった町を歩いて絶句しました。この地に希望をもたらすために、アーティストは何ができるか。必死に考えました」と振り返る。

発起人のボブ・ジェームス(左)と小田和正=写真 岡利恵子

大船渡のバンドは練習ではうまく演奏できなかったが「本番では奇跡的に素晴らしい演奏をした。彼らは気持ちよさそうに演奏していた。そのとき私は音楽でポジティブな気持ちを与えることができるのだと再認識しました」とジェームスが言う。「私は海外から日本に希望を持ってきて、さらに日本から海外にメッセージを伝える役割を担うべきなのだと自覚しました」

14年2~3月にはジェームスの考えに賛同したベン・E・キングや庄司紗矢香ら国内外のアーティストがフランス・ストラスブール、米ニューヨーク、米ニューオーリンズの3都市で「ミュージック・フォー・トゥモロー」を開いている。

それに続く開催となったこの日の福島公演の第2部では、活発に支援活動を続けるシンガー・ソングライターの八神純子が、被災地で出会った女性の話をヒントに作ったという「1年と10秒の交換」を歌ったほか、大江千里、ハワイのマノアDNA、地元のスパリゾートハワイアンズのダンシングチームが共演した。

第3部では、ボーカルグループのゴスペラーズが震災の2カ月後に宮城県南三陸町を訪れた際の印象から作った「ブリッジ」を美しいハーモニーで披露したほか、小田和正が「言葉にできない」を切々と歌い、ジャズピアニストの小曽根真は祈りにも似た清らかなピアノを聴かせた。

ハイライトになったのは福島第1原発のある福島県双葉郡の6つの高校の生徒たちが作詞し、ジェームスが作曲した「四季双歌~つなぐ 双葉の六校と四季~」の初演だ。各校の生徒40人がずらりと並び、一緒に作詞を手掛けた地元出身ミュージシャン渡辺俊美の指揮、ジェームスのピアノに合わせて「新しい追い風と 育てる小さい夢 ひとつ ひとつ」と合唱した。

ジェームスは「ミュージック・フォー・トゥモローは『続ける』がコンセプト。明日のための音楽を世界に発信していきたい」と語った。コンサートの模様は22日、NHK総合テレビで放送される予定。

(編集委員 吉田俊宏)

[日本経済新聞夕刊2016年3月15日付]

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