ハイレゾでも2万円台 人気復活したウォークマン

日経トレンディネット

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ソニーの「ウォークマン」は、同社が1979年にステレオカセットプレーヤーとして1号機を発売した携帯音楽プレーヤーのブランドである。その名前に特別な感慨を覚える人も多いだろう。

数十年の時を経て、音楽再生メディアは音楽CD、デジタル音楽へと移行したが、携帯音楽プレーヤーとしてウォークマンの名前を耳にすることが最近増えた。実はウォークマンは復活を遂げているのだ。市場調査会社GfKによると、2015年4~12月のハイレゾ対応ウォークマンの国内販売は前年に比べて約30%伸びている。

日本人のライフスタイルに合う

ではなぜ、ウォークマンが復活しているのだろうか。

今、携帯音楽プレーヤーを「ただ欲しい」という需要はあまりない。iPhoneやスマートフォン(スマホ)でも手軽に音楽を聴くことができることもあり、ただ音楽を聴くなら、専用の音楽プレーヤーを買う必要はないからだ。あれだけ人気だったアップルのiPodですら、電車の中でも利用者を見る機会は激減した。

そんな中、ウォークマンが選ばれる理由はいくつかある。

一つは、「ハイレゾ」対応の高音質である。いつの時代も高音質な音楽を聴きたいというニーズを求めると専用の音楽プレーヤーに行き着く。

次に「利便性」がある。例えば、ウォークマンはノイズキャンセリングに対応しており、通勤・通学の電車内で音楽を聴く日本人のライフスタイルにぴったりマッチしている。このようにユーザー・ニーズにきめ細かく対応した製品を次々に投入していることが復活の理由の1つだ。

最後に、多機能のスマホにはない「操作性のよさ」がある。ランニング中のようにスマホ操作には不向きなシチュエーションでは専用プレーヤーのほうが操作性がよい。

ハイレゾの入門機、Aシリーズ

ウォークマンはさまざまなシリーズを展開しているが、スタンダードなタイプとしては、ハイレゾ対応の「ウォークマンA」(2万円台前半~)がある。NW-A20シリーズと呼ばれる、NW-A25/NW-A25HN/A26HN/A27HNの全4機種だ。2015年秋モデルからはカラフルな色展開を特徴としている。

各機種の違いは内蔵メモリー容量。例えばNW-A27HNが64GB、NW-A25が16GBを内蔵している。全モデルともmicroSDスロットも備えており、メモリー増設も可能だ。

5色のカラーバリエーションを展開するAシリーズ

同機種の最大の特徴は、ハイレゾに対応していること。特にNW-A25HN/A26HN/A27HNの3機種ではハイレゾに対応したイヤホンが付属する。

実はこの付属イヤホンが貴重といえる。ハイレゾの基準を満たす40kHzまでの再生に対応したイヤホンは別に購入しても1万円以上するものが多く、2万円台で購入できるNW-A25HNにセットでこのイヤホンが付属するのは相当お買い得感がある。

ハイレゾ対応のデジタルノイズキャンセリングイヤホンが付属

また、Aシリーズは、外の騒音を軽減するノイズキャンセリング機能にも対応している。

多くの日本人が音楽を聴く通勤・通学の電車内は騒音だらけで、音楽を流していてもノイズは確実に耳へ飛び込んでくる。そのためノイズキャンセリング機能は、実質的な音質向上につながる。一般的なノイズキャンセル対応イヤホンの価格が1万円以上することを考えると、付属イヤホンでノイズキャンセル機能の付くAシリーズはお得だ。しかも、ハイレゾ対応のスペックまで対応するとなると他社に選択肢はない。

ハイレゾ音源を連続30時間再生可能で、ハイレゾ音源の高音質伝送ができるBluetoothワイヤレス規格「LDAC」にも対応したAシリーズは、スマホにはない高音質・高機能を満載した優等生的モデルなのだ。

さらなる高音質を狙うならNWシリーズ

ネット上で人気の高いモデルは、さらに高音質の「NW-ZX2」(10万円前後)や「ZX100」(6万円台)だ。この2機種は、音楽愛好家のために作られた高音質チューニングモデルといえる。

Aシリーズより一回り以上大きいZX100のボディー

NW-ZX100は、高級機種として2015年10月に発売された最新モデルであり、2013年発売の「NW-ZX1」の後継にあたる。

6万円台の価格は一般的には高いと感じられるかもしれないが、最近は10万円超の製品もプレーヤーも珍しくない高級携帯音楽プレーヤー市場では比較的安価な部類に入る。

NW-ZX100は、高音質パーツ採用によって磨き上げられた音質の良さが特徴。ハイレゾ入門の位置づけだったAシリーズと比べても、音の解像感、引き締まった低音はかなり上。音源の持つ情報を隅々まで引き出せるのだ。

内蔵ソフトウエアもソニーが独自に開発したもので、音楽再生に特化した作りで高い評価を得ている。ただし、Aシリーズ(約66g)と比べると、ZX100(145g)は見た目以上に重い。

内蔵メモリーは128GBで、microSDによる拡張も可能。必要なスペックも一式そろえられている。また、ワイヤレスを高音質化するLDACやハイレゾ対応ノイズキャンセリングにも対応する。ただしイヤホンは付属しない。自分の好みのヘッドホンを使ってほしいという姿勢だ。

最上位モデルは何が違う?

ウォークマンの最上位モデルがNW-ZX2だ。2015年2月に発売されており、高音質モデルとしては2機種目にあたる。

携帯性を度外視して高音質化を狙ったZX2
きょう体、端子類、内部パーツまで高音質パーツを厳選

NW-ZX2のポイントは、切削アルミフレームや新開発のハイブリッドシャーシ、きょう体内部のコンデンサなどオーディオ的なマニアックなこだわりにある。手に持ってズシリと重みを感じるサイズがそのあかしだ。

NW-ZX2の音の傾向は、音源の情報をダイレクトに引き出すNW-ZX100に対して、より深みのあるオーディオ好きを狙った音質を備えている。重量は235gとスマホ以上(iPhone 6 Plusは172g)だが、ひたすら高音質再生を追求するマニア向けの機種と呼べる。

内蔵メモリーは128GBで、microSDによる拡張も可能。OSにAndroidを採用しているのでWi-Fiを経由してストリーミングなどの音楽再生への応用も可能だ。

実売価格でも10万円前後だが、据え置きオーディオ機器の風格をも備えるNW-ZX2の存在に、高音質にこだわるウォークマンブランドの姿勢が表れている。

なおNW-ZX100とNW-ZX2音の傾向が違うので、単純な上位・下位モデルとは考えず、両機種の音を聴いて比較してみたほうがよい。

ノイズキャンセリング対応で1万円台前半の機種も

高音質にはそこまでこだわりがなく、シンプルに音楽を楽しみたいというユーザー向けのモデルとして「ウォークマンS」(1万2000円前後~)も発売中だ。

ハイレゾには対応していないものの、サイズはAシリーズよりも一回り小さく、重さも約50gと軽い。内蔵メモリーは4GB、8GB、16GBの3モデルを展開。デジタルノイズキャンセリング機能を搭載し連続再生時間も約77時間と長いため、通勤・通学での使い勝手がよい。

2016年1月時点でSシリーズは、NW-S13/S14/S15と、専用セットスピーカー付属のNW-S13K/S14K/S15Kを展開している。とにかくシンプルに「専用プレーヤーが欲しい」「ノイズキャンセリング機能が欲しい」という人におすすめだ。一般的にはノイズキャンセリング対応のイヤホンだけでも1万円を超えるものが多いので、とてもお買い得な製品だ。

実売価格で1万円前後のSシリーズ
専用スピーカーセットモデルを展開

スマホ無しで使えるスポーツモデル

ウォークマンのなかでも飛び抜けてユニークな製品が「NW-WS610シリーズ」(1万7000円前後)だ。この製品はズバリ、スポーツ用途に特化している。

他社製品にもスポーツ用のイヤホンは多数発売されているが、イヤホン単体でウォークマンとしての機能を持つため、スマホを必要とせず、内蔵16GBのメモリーに記録した音楽を聴くことができる優れものである。また、ランニングだけでなく、水泳中にも装着できる防水設計というのも貴重だ。

またBluetooth対応でスマホとも連携できる。ランニング、エクササイズ、水泳とあらゆるスポーツ用に耐える、用途特化モデルの決定版だ。


音質追求派はポータブルアンプ追加も視野に

予算に糸目を付けず「とにかく最高音質」を追求したい人には、ウォークマンだけはモノ足りない人もいるはずだ。

ウォークマンNW-ZX2を買うと同時に、ソニーのポータブルヘッドホンアンプPHA-3(約10万円)、ヘッドホンのMDR-Z7(約6万円)まで突っ走ってほしい。総額30万円近くになるが、バランス接続をしたときの音のよさは本物。オーディオマニアなら、投資以上の音質の高さに感激するはずだ。

ポータブルアンプのPHA-3も追加したい
バランス接続にも対応したMDR-Z7

(ライター 折原一也)

[日経トレンディネット 2016年2月4日付の記事を再構成]

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