家事も好き サマンサ執行役員ママは定時退社サマンサタバサ上席執行役員・世永亜実さんインタビュー

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世永亜実さん サマンサタバサ上席執行役員。30人以上のプレスマーケティング部を取りまとめる。小2の長男と年少の長女の二児の母。管理職でありながらも、毎日18時には退社して、保育園のお迎えもするし、夕食にも力を入れる。(写真:岩辺みどり)
世永亜実さん サマンサタバサ上席執行役員。30人以上のプレスマーケティング部を取りまとめる。小2の長男と年少の長女の二児の母。管理職でありながらも、毎日18時には退社して、保育園のお迎えもするし、夕食にも力を入れる。(写真:岩辺みどり)
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若い女性に人気のファッションブランド、サマンサタバサ。ミランダ・カーなどを起用した広告も印象強いオシャレ最先端の会社で、30代にして上席執行役員を務め、30人以上の部署を率いる世永亜実さん。仕事中は「5分も席に座っていない」というくらい忙しいが、子どもの送迎も自分でし、夕飯も毎日手作り。家事・育児も自分がメーンとなって切り盛りしているパワフルママだ。

“かわいく、楽しく、一生懸命”それが私の仕事ルール

なんでこんなに走り続けていられるんだろう、って自分でふと思うこともあるんです。

サマンサタバサがまだここまで有名じゃないころに転職して加わり、もう10年以上。明確なビジョンを持っていたというより、とにかく目の前の課題に次々取り組んでいくうちに、気づいたら多くのスタッフを抱え、「世永さんがロールモデルです」と言われるようになっていました。もちろんそう言われることは恐れ多いですし、ロールモデルであろうとは思っていません。このままずっと働き続けるのだろうか、と悩むこともあります。

でも、女性にとって仕事で目標となる女性が近くにいるというのは、非常に大事なことですよね。会社は20、30代の若い女性が中心です。みんなやる気と元気に満ちあふれていて、結婚も出産もこれから。だからこそ、管理職だからかっこよく見せようというより、仕事と子育ての両立は本当に大変だというリアルなイメージを持ってもらおうと思って、私は隠そうとはしていません。

18時になればミーティングの途中でも退社することもある。そういうことも含め、「だからこそ20代のうちにめいっぱい仕事にのめり込んで。経験を積んで、仕事を楽しんで。今があなたたちの華なのよ」って話したりします。 

「タバサルーム」と呼ばれる社内託児所も完備。「私も最初はここに預けて復帰しました」(写真:岩辺みどり)

一方で、30代のスタッフはそろそろ結婚や子どもを持つことに悩み始めている時期。それをどうやってバランスを取ればいいか、という相談にも乗ったりします。でも、仕事も家庭も両方は取れないよとは思ってほしくない。その両方をかなえるために、これから何ができるのか、どんな経験やスキルが必要になるのかを相談に乗ったりしますね。

“かわいく、楽しく、一生懸命”。それが私たちが仕事をするときのキーワード。男性に勝とうとするより楽しくやる。若くして責任ある仕事も任せます。すると、みんなすごく頑張ってくれて、どんどん成長していくんですよ。女性は30代には子育てなどで忙しくなるので、そうやって早くステップアップして仕事でも早くに主役になっていくことで土台をつくって、その後のバランスが取りやすい状況をつくれるようにしてあげたいですね。

実は、ずっと保育士になりたかったくらい子どもが好きなんです。だから、子育てに時間を割くのは苦じゃないし、できればもっと時間を使いたいくらい。家事も洗濯の畳み方を決めていたり、夫が外食が嫌いなので毎日自炊したりと自分でやるほうが楽なんです。夫も管理職で多忙なので、基本的には家庭のことも私が中心。成長とともに子どもがいろんなことに興味を持つのも、私は一緒に学ばせてもらっているくらいの気分です。

夫の褒め言葉は天下一品 それがパワーをくれる

とはいえ、仕事をしながらの家事と育児は常にフル回転。仕事の時間が自分の時間だと思っています。それ以外は、子どもたちと家庭のためです。どれも自分がやりたいことだから「なんで私ばっかり」とは思わないのですが、やはり立場柄、週末もイベントに出たり、国内外の出張もあったりします。そんなときは、前々から私がいない日の家族のスケジュールを紙に書き出しておくんです。その日に子どもが参加できるようなイベントやワークショップも探して申し込み、子どもにとっても充実した時間になるようにセッティングします。

帰ってきたら、「ママ聞いてよ! すっごい面白かった。また行きたい!」と言わせたら私は大満足。どうせ出張に行かなきゃいけないなら、罪悪感だけで過ごしたくないですよね。

夫は、驚くくらいマイペースで、家事や段取りが苦手です。仕事では大活躍の人なのですが、どうやって仕事しているんだろうと思うくらい家庭ではマイペース。

でも、夫はとても褒め上手で究極のポジティブなんです。私が味噌汁を作っただけで、「うまい! おまえ、この味噌汁で天下取れるよ!」って本気の顔で言いだすほど。洋服を選んでいるときにどちらがいいかと聞いても「どっちも似合うよ! ほんとにすてきな妻と結婚してよかったなぁ、俺。どっちを着てもサイコーだよ」とか(笑)。

私の兄や母も、いつも肯定的で褒め上手でした。私がこんなにフル回転で頑張れるのは、そんな褒め上手でポジティブな人たちに支えられているからかもしれませんね。

7割の力でできる仕事なんてない

私は常に走り回ってフル回転。でも、仕事をするということは、楽なことであるはずがないと思っています。産休も同じ。仕事から離れる以上、浦島太郎になってしまう恐れは常にあります。だから、産休で離れたのと同じ期間は恩返しだと思って働くくらいの気持ちが必要だと思います。

7割の力でできる仕事なんてないんです。時間に制限があっても、100%の成果が出せるように工夫をしたり、部下の悩みには24時間答えてあげたりしたいので家に帰ってからもLINEやSkypeを使って連絡を取り続けます。働きやすさを維持するために、成果も出す。会社に結果をきちんと返すことは大前提だと思っています。

(ライター 岩辺みどり)

[日経DUAL 2016年1月25日付記事を再構成]

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