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本物の使い勝手と美しさ 「一生モノ」の料理道具 合羽橋のプロが選ぶグッズ3選

日経トレンディネット

2016/2/25

照姫 銅製卵焼き器(関東型)5390円(税込み)
日経トレンディネット

料理道具街、合羽橋(かっぱばし)でプロが指名買いする道具とはどんなものだろうか。合羽橋で料理人御用達の道具を徹底リサーチ。厳選した料理道具を3回にわたって紹介する。

男性専用の料理教室が増え、「料理男子」なる言葉も登場。いまや料理は女性にモテる条件のひとつ。ならば道具にもこだわって腕を磨きたいもの。料理道具の中でも鍋、釜、包丁は最初にそろえたい道具であり、職人技がさえる道具だ。1回目で取り上げるのは使い勝手はこの上なく良いことはもちろん、デザインまでも美しい、一生モノのプロ仕様料理道具3選。

合羽橋のプロが選んだモノ
●釜浅商店の姫野工作所打ち出し行平鍋
●銅源サイトウの銅製卵焼き器
●つば屋包丁店の本焼き鋼包丁

■すべて手作業、プロも憧れる

明治41年から続く料理器具販売の老舗、釜浅商店でプロの料理人が指名買いするのは、大阪八尾市の行平鍋職人・姫野寿一氏が手がける「姫野工作所打ち出し行平鍋」だ。

「プレスの大量生産とは違い、熟練の職人が手作業で一気に叩いて作る行平鍋。叩くことでアルミが締まり丈夫になり、使うほどに味わいが増していきます。鍋の厚みが3ミリと肉厚で一見ずっしり重そうですが、アルミなのでこれがまたちょうどしっくりくるいいあんばい。姫野さんは3種の金槌を使い分けて仕上げるのですが、リズムがあるので途中で止められないという、ストイックな職人です」と釜浅商店の4代目・熊澤大介さん。

アルミは熱の伝導がいいだけに、鍋の厚みが薄いと火が回り過ぎてしまう。厚いと均等に熱が入り、煮物も柔らかく均一に仕上がるそうだ。柄の付け根も抜けにくい工夫が施され、実用性が高いところもプロに信頼されている。見た目も惚れ惚れするほど美しく、所有欲をかき立てる。

姫野寿一作・行平鍋(6寸・18センチ)8670円。釜浅商店の別注品でオリジナルのものよりも若干深さがある

■ふんわり卵焼きの秘密は「銅製」にあり

プロが卵焼きを作るときに使っているのが銅製の卵焼き器。築地市場の卵焼き専門店などでは、いくつもの銅製の卵焼き器が並び、ひとつずつ料理人が仕上げていく様子を垣間見られる。プロの料理人は料理道具を育てていくとよく表現するが、銅製の鍋はまさに育てる道具だ。

銅製料理道具専門の銅源サイトウの3代目、斎藤源次郎さんの奥様かよ子さんに話を聞いた。「銅製のいいところは熱伝導のよさ。アルミの約2倍、ステンレスの約25倍といわれていて、均一にムラなく火が通ります。だから卵の色がきれいに出るし、ふんわりと焼き上がるんですね。正方形の関東型は太巻きなどを作る場合に便利ですが、うちではどちらかといえば長方形の関西型が人気です。大きさもちょうどよく比較的扱いやすいからでしょう」(かよ子さん)

丸新銅器 銅製卵焼き器(関西型)2670円(税込み)

銅製品のお手入れは難しそうだが、そんなことはないという。「よく使用後に油を塗っておくといいといわれますが、油くさくなるしホコリもつきやすくなるので、キッチンペーパーで軽く拭くくらいでちょうどいいですよ。洗う場合も洗剤は使わずにスポンジを使ってぬるま湯でざっくりと。その後、よく乾かすことが一番大切なポイントです。ガンガンに空焼きするのは厳禁。銅は緑青(ろくしょう)が出やすいので、それを防ぐために表面に錫(すず)加工してあります。空焼きはそれが剥がれてしまうんですね。歪みの原因にもなります」(かよ子さん)。ちなみに焼けてしまったりすることもある木柄の部分は有料で交換可能だ。

■伝統工芸士が手がける越前刃物

プロの料理人はていねいに時間をかけて包丁を研いで、ようやく1日の仕事が終わるという。それだけ料理人にとって包丁は大切な道具だ。プロが愛用するのは「本焼き」と呼ばれるもの。一生モノの包丁とはどんなものか、つば屋の2代目・齊藤力さんは次のように話す。

「本焼き包丁とは加熱した鋼をハンマーで叩いて鍛造するもので、霞包丁と呼ばれる鋼と軟鉄の合わせた一般的なものとは区別されます」(齊藤さん)。店内には1万5000円から10万円以上もする包丁が並ぶ。中でも特に最近注目されているのが、デザートアイアンウッドというメキシコの砂漠の中に埋まっていた古木を柄に使った趣味性の高いもの。美しさはまるでアートのようだ。刃の部分は最高級の鋼で、越前刃物で知られる、福井県越前市武生の伝統工芸士・佐治武士氏が手がけた。

佐治武士作デザートアイアンウッド粉末ハイス鋼包丁7万2360円(税込み)

「つば屋では包丁の特性に合わせて全国の鍛冶職人にお願いしていますが、任せっぱなしではなく、例えば、ある分野に関してはすばらしい腕をお持ちだけどそうでない特定商品には弱いという職人がいたら、こちらから別の鍛冶職人をご紹介して研修に行っていただき、鍛冶職人を育てることもしています」(齊藤さん)。包丁文化や鍛冶技術を理解・支援し、盛り上げていく姿勢がすばらしく、つば屋に行けばこの包丁以外にも納得がいく自分だけの1本がみつかるだろう。

(ライター 三井三奈子)

[日経トレンディネット 2015年12月7日付の記事を再構成]

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